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勝ち組に学ぶシステム導入事例
勝ち組に学ぶシステム導入事例

第2回:大手ブログ検索サイトがPostgreSQLからOracleへ移行を決断した理由(前編)
著者:ミラクル・リナックス  高橋 強   2006/4/5
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オープンソースからの移行を考える

   OSSデータベースの利点のひとつとして、商用システムでも無償利用できるものがあることでしょう。特に採算の見通しが立ちにくい新規事業などで、こういったOSSデータベースを利用する例が増えています。しかしベンダーからの詳細な情報が得られやすい商用製品と比べると、データの肥大化やトラフィック増加にあわせたシステムの最適化やチューニングなどで難しいポイントがあり、OSSから商用へと移行を検討しているケースも増えつつあります。

   今回はまさにそういった背景からOSSデータベースであるPostgreSQLから商用データベースOracleへの移行を決断された事例をベースに、移行における問題点などを技術的なポイントに着目してご紹介したいと思います。


PostgreSQLを利用した検索サイトを立ち上げる

   この回では、あるサイトを例に取り上げ、その会社がどのように改善を行ってきたのかを紹介します。

   一般にインターネットのアクセスが普及した昨今、急激に顧客や会員などが増加して、サイトへのアクセスが当初考えていた許容量を超えてしまうなどの理由でパフォーマンスが急激に悪化してしまった…ということが増えてきています。

   ブログ検索専用サイト『アクセラナビ』を運営しているアクセラテクノロジ株式会社では、急激に増加するアクセス数のため、データ蓄積用に使用しているPostgreSQLに限界を感じはじめていました。

アクセラテクノロジ株式会社(http://www.accelatech.com)
本社:〒150-0013 東京都渋谷区恵比寿1-19-19 恵比寿ビジネスタワー13階
設立:2001年7月3日
資本金:1億4千万円
事業内容:高度情報活用サーバAccelaシリーズの開発・販売、 プロフェッショナル・サービスの提供など

   アクセラテクノロジの主力製品である全文検索システム「Accela BizSearch」は、多くの企業や基幹サービスのインフラとして採用されています。2005年7月には、そのさらなるビジネス拡大をはかるため、ブログ記事の総合検索サイト「アクセラナビ(http://www.accelanavi.com)」を立ち上げました。

   当時はまだブログという言葉が注目されはじめたばかりでした。しかし特に米国においては顧客の生の声が聞けるメディアとして、また企業内のナレッジ共有ツールとして大ブレイクしていることもあり、日本でもマーケットが広がると確信してリリースを決めたそうです。

   スタート時の登録記事は約1,500万件。その勢いはとどまることなく、半年足らずで約1億件まで激増しました。

   当初、データベースとして採用したのはコストメリットが高いPostgreSQLでした。しかしPostgreSQLでは2,000万件程度までは問題なく運用できる反面、ある規模を超えると急激に速度低下することを確認していました。そのため記事が2,000万件を超えるたびに、PostgreSQLのテーブル分割やインスタンス増設を実施することで、この問題を回避してきました。

アクセラナビのPostgreSQL運用環境(アクセラテクノロジ提供)
図1:アクセラナビのPostgreSQL運用環境(アクセラテクノロジ提供)

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ミラクル・リナックス
著者プロフィール
ミラクル・リナックス株式会社  高橋 強
1993年某SIベンダへ入社後、Oracle、DB関連のコンサルティング、チューニング、社内案件の技術支援などを10年ほど担当。2004年ミラクル・リナックス株式会社へ入社。


INDEX
第2回:大手ブログ検索サイトがPostgreSQLからOracleへ移行を決断した理由(前編)
オープンソースからの移行を考える
  移行を決断するまでの経緯
  移行の際のポイント