連載 :
  徹底比較!!ERP

ERP導入の失敗とは何か、成功のためには何をすべきか

2006年5月16日(火)
田口 佳孝

ERP導入の成功のためには何をすべきか

ERPの導入とは、単にERPシステムやソフトウェアの導入プロジェクトではないことをまずは肝に命ずべきである。そのためには、企業の経営者の強 力なサポートがまず重要である。経営者の権限を100%委譲されたCIOやプロジェクトマネージャーが、BPRという意識を忘れずにERPの導入のプロ ジェクトを進めることが重要である。

アドオンの徹底的な精査が重要

どんなERPパッケージを選定しても、現在の業務に100%合致することはない。現在の業務をすべてパッケージにあわせるという方法でなければ、何 らかのアドオンが発生することは否定できない。それでも最近のERPパッケージでは業務プロセスの標準化も進んでおり、基本的な業務プロセスであれば大体 の業務はサポートできている。

所詮、企業活動とは製造業でいえば顧客から注文をもらって部品を購入し、自社で製造して製品を作り、配送してお客様からお金をいただくという一連の流れであり、企業間で大きな差は存在しないのである。

企業の中には企業独自のプロセスを持っていて、それが企業の差別化につながっている場合もあることは事実である。その部分をよほど精査した上で得ら れる効果とアドオンのコストや維持管理のコストとのトレードオフであり、プラスが多いのかマイナスが多いのかを慎重に考えた上で決定すべきである。

SIerとしては、アドオンが増えるとその分仕事量が増えるため、どんどん受け入れる方向で進んでいたことも事実である。あえてここで過去形を用いたかというと、そのビジネスモデルは現在、ほとんどのSIer自身では進めていないからだ。

なぜならば、アドオンを行うことによりシステムの導入期間が長引き、かつシステムの複雑度が増してシステム導入プロジェクトの生産性が低くなること もあり、SIerにとってもメリット低くなりリスクが高い案件となってしまう。これは大手ERPベンダーや中堅企業向けのERPベンダー、SIerの経営 者へ筆者がトップインタビューを通して得られた共通した認識であった。

今回のシリーズについて

本連載の第1回ではERP業界の動向、特に中堅企業向けERPに関する動向について、第2回ではERPの導入時の失敗や成功のための重要な点などについて紹介を行った。

次回からは中堅企業向けERPベンダーを取り上げ、各パッケージの紹介をする。

ERPの導入を計画されている方には、今回のシリーズは見逃せないものとなっている。ベンダー各社のERPパッケージの特徴などを詳述するのでERPパッケージ選定の参考にしていただければ幸いである。

参考

ERP研究推進フォーラム
http://www.erp.gr.jp/


ERP研究推進フォーラム出版物に関する情報
http://www.erp.gr.jp/book/book/index.html


ERP研究推進フォーラムのERP導入に関する研修などに関する情報
http://www.erp.gr.jp/kensyu/body.html
参考文献

ERP導入リーダーを目指す人のための実践ガイド
http://www.erp.gr.jp/book/book/057/book057.html


2005年 企業アプリケーション・システムの導入状況に関する調査
http://www.erp.gr.jp/book/book/067/book067.html
ERP研究推進フォーラム 常任理事

元日本ガートナーグループ代表取締役。大学卒業後、1971年(財)機械振興協会・技術研究所でCAD/CAMの研究業務に従事。1975年にミシガン州アナーバー市のCAD・CAMのソフトウェアサービス会社へ移籍。その後、EDS-ジャパンの立ち上げ、アウトソーシング、コンサルなどに従事。ガートナーグループの立ち上げを経験。

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