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DOAとは何か!〜開発現場から見るDOA〜
第1回:DOAを採用した現場の実態とは
著者:
システムズ・デザイン DOA推進ワークショップ
2007/2/15
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DOAとPOAという2つの流れ
現状の情報システムの設計においては、どのようにデータを加工・伝達しているかに着目した「POA(Process Oriented Approach:プロセス指向アプローチ)」と、業務であつかうデータ体系に着目した「DOA(Data Oriented Approach:データ指向アプローチ)」の2つの流れがあります。
一般的にはPOAがシステム設計が中心で、DOAに傾倒した開発標準を備えた現場は多くありません。しかしDOAは全体的な整合性を持ち、環境変化にあわせた改訂が容易であるなどのメリットがあります。こういった点から、筆者が携わる現場ではDOAを意識した開発標準を使っています。
本連載では、実際に筆者が関わっている現場でどのようにDOAを適用しているか、事例を交えながら解説します。
DOAを意識した開発現場
筆者らはプロジェクトに関わるにあたって「工期の徹底的短縮」と「年間開発案件数の大幅増」を目標とし、そこにDOAを適用しています。また、その適用範囲は広く、開発プロセスモデルやプロジェクト管理プロセス、標準ツールを決定し、すべてのプロジェクトに適用しています。
これらの管理指標として、開発生産性や開発スピード、品質、納期遵守率、コスト生産性の基準を設け、そこからファンクションポイント(以下、FP)による見積りとワークロードの実績を求め、プロジェクトを評価しています。
筆者らが実際に利用しているDOAにのっとった開発標準を決める際には、次のような狙いを持っています。
開発標準の狙いは次の通りです。
各フェーズ/プロセスにおけるプロジェクトメンバーの役割分担、作業内容、および成果物を明確にして開発の円滑化をはかる
品質保証のためのレビューを実施。当該工程の成果物の品質を確認し、次工程の計画の妥当性を確認する
工期短縮のため、内部設計〜結合テストでプロトタイピングによる開発を行う
WBS(Work Breakdown Structure)によるプロジェクトを管理。計画の精度アップと予実管理の徹底を行う
開発システム規模をFPに統一。生産性や開発スピードを同一基準で測定、改善に役立てる
表1:開発標準の狙い
今回は「開発プロセス」「開発体制」「成果物」の3つの観点から、その概要を紹介します。
開発プロセス
開発プロセスはウォーターフォールをベースとしており、以下の各工程を設けています。
ビジネス分析(BA、Business Analytics)
要件定義(RD、Requirements Definition)
外部設計(ED、External Design)
内部設計(ID、Internal Design)
プログラム開発(PT、Programming and unit Test)
結合テスト(IT、Integration Test)
システムテスト(ST、System Test)
効果測定(EM、Evaluation and Measurement)
表2:開発プロセスの各工程
各工程の最後にレビューがあり、これを無事にパスしないと次の工程に進めないルールとなっています。レビューは、大きく3つに分かれます。
イベント
実施局面
目的
主な決定事項
技術レビュー
RD、ED、(IT)、ST
技術面からプロジェクトを評価、提言、修正指示、改善提案などを提示、プロジェクトの円滑な推進をはかる。
摘要技術、キャパシティ計画、など
品質レビュー
RD、ED、IT
開発標準への準拠性。プロセスを踏襲したかを評価して、品質を保証する。
標準(成果物)遵守、プロジェクトリスク、など
ユーザーレビュー
(BA)、RD、ED、IT、ST、EM
ユーザー部門および情報システム部門によるプロジェクトの評価、継続可否をはかる。
費用、開発スケジュール、立ち上げ日、など
表3:レビューの種類
レビューの開催はその開発の規模や新技術の利用により異なります。開発規模と内容によって各フェーズでのレビュー方法を規定・標準化することで、効率的な運用をはかっています。
この他、週1回ユーザ企業のステアリングコミッティ(運営委員会)に開発状況を報告しています。ステアリングコミッティは、問題の兆候が見られるプロジェクトをピックアップし、それらの管理を徹底して有効な対策を講じるために、開発側と密接に連携しています。
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著者プロフィール
システムズ・デザイン株式会社 DOA推進ワークショップ
ビジネス解析方法論であるDOAと、開発プロセス方法論であるRAD、ウォーターフォール、UPなどを現場の最前線で適用している技術者を中心に開設した、sdc独自のワークショップ。PDCAサイクルを回して、さらなる進化と「確かなモデリング∧確かな開発プロセス→いい仕事」の可能性を追求する。
INDEX
第1回:DOAを採用した現場の実態とは
DOAとPOAという2つの流れ
プロジェクト体制
DOAを現場で展開する上での留意点