【新・言語進化論】アレで使われている言語って何?
第2回:Second Lifeの開発はオブジェクトに通ず
著者:サイバーリップル 林 竜二
公開日:2007/11/9(金)
環境としてのセカンドライフ
米リンデン・ラボが世界に向けて送り出した「セカンドライフ」は、原稿執筆時点(2007年11月8日)で10,749,557人という膨大なユーザが参加している3Dオンライン仮想世界です。Think ITを運営しているインプレスITも、飛行船やトラックといったオブジェクトをセカンドライフ内で提供しています。
セカンドライフが従来のMMORPGと大きく異なる点として、「世界中のユーザが同じフィールド(サーバ)内にいること」や「参加した時点では各ユーザに目的はなく、自分で目的を作らなければいけないこと」「世界中の言語が飛び交いつつコミュニケーションが成り立っていること」などがあげられるでしょう。
これはある意味で「Web」の状況とよく似ています。世界中のユーザが1つのネットワーク上で、それぞれの目的を持ち、さまざまな言語でコミュニケーションするというのは、まさにWebと同じだといえるでしょう。1つの可能性として、セカンドライフがWebに代わる新たなツールとして受け入れられるかもしれません。
本記事では「セカンドライフ+言語」をテーマにとりあげます。すでにセカンドライフを経験されている方なら「リンデンスクリプト」のことや「セカンドライフのオープンソース化」を思い浮かべるでしょう。しかしここでは視点を変え、「3D」の仮想世界を形作っているオブジェクトに注目していきます。
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)
オブジェクトの説明をはじめる前に、まずはセカンドライフについておさらいしておきます。セカンドライフの世界は「SIM」と呼ばれるエリアごとに区切られています。このSIM1つは基本的に1台の実サーバに対応しています。なお一部の廉価版SIMでは、1台のサーバで海SIMなど、4SIMを構成しているケースもあります。
個々のSIMは256m四方のエリアで、その中をSIMオーナーがさまざまな地形に改造し、レンタルしています。アバターが直接飛びまわれる範囲は高度100m程度ですが、オブジェクトの設置に関しては700m程度まで可能です。1つのSIMには最大で100人程度が接続可能ですが、通常は40人程度までが実用上の目安となります。
「何かを開発したい」というユーザが、セカンドライフの中ではじめに手がけるのが「オブジェクト」の作成でしょう。「新・言語進化論」としてはリンデンスクリプトでプログラムをしたい所なのですが、そのスクリプトを組み込むべきオブジェクトがあってこそプログラムする価値が生まれます。
オブジェクトはすべて「プリム」と呼ばれる部品を変形させ、組み合わせることで作られています。大きな建造物や乗り物、身につける小物まですべて同じ手法で、誰にでも作ることができます。しかも、セカンドライフのクライアントにはプリムを使ってオブジェクトを作るためのツールが組み込まれているのです。
では、実際にオブジェクトの作り方の基本を学んでいきましょう。 次のページ