バグ管理の裏側は取材難航
電化製品のバグ管理をテーマにお届けしている「最新家電のバグ管理」。実はこの取材はかなり難航した。
そもそも「製品にバグがあった」ということが問題になる昨今、そういった情報が世にでることに不安を覚えるのは当然ともいえる。しかし一方で、不具合がおきたことを包み隠さず世に報告し、さらに適切な対処を行うことが今後の企業には求められるだろう。
その一例が、弊誌Think ITで紹介した次の記事だ。
このような対応が求められるのは、障害が起きた時だけではない。自動車メーカーが衝突実験の映像を公開するように、どのような取り組みで安全や品質を確保しているか、といった点を知らせるのも重要なのではないだろうか。
本連載を作成するに当たり、シンクイット編集部ではさまざまなベンダーに取材交渉を行った。年末に向かって忙しい時期に重なっているというマイナス要因は確かに存在しているが、結果として多くのベンダーから取材を断わられてしまったのである。
その取材拒否の主な理由は表1の通りだ。
企業名 |
理由 |
A社 |
担当技術者のスケジュール的な問題 |
B社 |
機密情報のため、公開できない |
C社 |
バグ管理について発言できる技術者がいない |
D社 |
こういった取材を受ける部署がない |
E社 |
バグについての情報を出したくない |
表1:取材拒否の理由
これらはほんの一例だが、このような理由によって家電製品のバグ管理について取材することができなかったのである。
また、質問内容としては「企業としてのバグ管理に対する取り組み」がテーマなのだが、製品によってバグ管理の担当者が異なっており、スケジューリングが難しいという返答もあった。
このように取材申し込みを断られるという状況の中で、「実際の理由は別のところにあるのかもしれない」と思わせるコメントが聞こえてきた。それはあるベンダーの技術者が漏らした、以下のような「バグ管理手法について公表したくない理由」だ。
「弊社では個々のプロジェクトごとに、Excelのシートを使ったり紙ベースで管理しているだけです。企業全体として公開できるようなバグ管理はしていないんですよ」
このコメントの意味するところはなんだろうか。 次のページ