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【バグ管理の作法】本当に怖いバグ話

【バグ管理の作法】本当に怖いバグ話

第4回:あのバグ本当に直ってるんですかね…

著者:シンクイット編集部

公開日:2007/12/28(金)

その管理じゃだめなのです

第3回:フォルダごとドラッグ&ドロップしないでしょ」では、プロジェクトを進める中で遭遇してしまった恐怖体験をお伝えした。

特に第1話には多くの反響があり、特に「バージョン管理システムを使わずにグループ開発している組織自体が問題」や「環境を構築した人に問題ありかと」「ソース管理がまともにできていないのが原因なのに、Jさんにだけ問題があるようにいうのはどうかと思います」など、データを盛大に上書きしたJ氏に責任はないという意見が寄せられた。この話を読んで「ソース管理の重要さ」を再確認していただければ幸いだ。

いよいよ最終回を迎える今回は、読者の方々が体験した「怖い話」から、いくつかを選りすぐってお届けしよう。懐かしくも怖い話から、反則ぎみな恐怖体験まで幅広いネタがそろっている。

1つ目の話は40代で経営層に関わるN氏から聞いた、リアルに怖い話である。N氏の会社ではある理由からバグ管理ツールの導入を余儀なくされたのだが…。

「私が所属している会社は、それほど大きくはありませんが、技術力がある粒ぞろいのスタッフの力もあって、大手SIerの下請けとしてさまざまな企業システムの構築に携わってきていました。

大人数で力技的にシステムを作るのではなく、少人数精鋭のチームで多くの案件に対応してきました。小回りの効くチーム体制を取っていたことからバグ管理については紙の報告書ベースで十分に対応できており、その意味できちんと管理できていたという自負もあります。

しかしある日、取り引き先から『これからは当社が指定するツールでバグ管理を行っている実績のある会社に案件を発注することになりました』と告げられたんです。すでにバグ管理は紙ベースで行っているわけですから、それをツール上で再現すればよいだけです。

そのように取り引き先に申し出たのですが『もちろんそこについては了解していますが、今後はあくまで実績のある方にお願いしたいということになりました』という返答でした」



「バグ管理ツールの導入自体はそれほど面倒な作業ではありません。しかし、そのとき社内のメンバーはそれぞれが別々の案件で出払っており、ツール導入の作業は後回しにするしかありませんでした。そうして手をこまねいているうちに、他の取り引き先も同様の決断をしてしまったのです。

私たちが取り引き先を失う一方で、管理ツールを導入して人海戦術で案件にあたる企業がその案件を受注していきます。苦しい状況の中で何とかバグ管理ツールの導入と、新たな取り引き先の開拓を進め、なんとか実績を作ることに成功しました。

これまでの紙ベースでのバグ管理のノウハウがあったため、比較的スムーズにバグ管理ツールの導入も行うことができました。しかし、もっと早い段階でツールに移行していれば、損失もなかったと思うと悔やまれますね」

この話は、海外で起こっている実例を基に再構築されたものだ。よって今現在、日本国内ではまだこのような状況は少ないといえるだろう。しかし今後はこの話が夢物語ではなくなるかもしれない。バグを管理するのは当然で、何か問題が発生したときに情報をトレースし、正しく修正できたことを確認できる体制作りが求められていくはずだ。

その世の中が目の前に迫ってきたとき、今あなたが行っているバグ管理で対応できるのか、改めて考えて欲しい。

続いては、ちょっとほっとする懐かし系の怖い話をお届けする。 次のページ



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