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オープンソースを中核にした新世代のベンチャー企業 |
業務系、サポートビジネス、ライセンス保証など技術要素を超えた新しいビジネスモデルで勝負する事業者
著者:シンクイット 重松 直樹 2005/9/28
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はじめに
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オープンソースを中核においたビジネスで利益を上げる事業者は、これまでディストリビューションメーカーやハードウェア・ソフトウェアベンダーが中心であった。しかし、海外では、これまでとはまったく異なるビジネスモデルを持つベンチャー企業が登場している。日本でも、後に紹介するワイズノットやビーブレイクシステムズといったオープンソースを武器にしたベンチャー企業はあるが、海外ではこの動きがより活発だ。
本稿では、今注目されている海外企業3社を紹介する。今後のオープンソースビジネスモデルを占ううえで、参考になるだろう。
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OSSの業務系アプリでCRM分野に新風SugarCRM(シュガーシーアールエム)
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ハードウェアからOSへ、そして開発基盤へと、オープンスタンダード化の流れは進んできた。オープンソースも、OSのLinux、開発基盤のPostgreSQLやEclipse、JBossというように、時を経るにつれて上位レイヤーへと普及してきている。
そのさらに上のレイヤーにあるのが、業務系アプリケーションの領域である。人事システムや会計システムなど、技術的要素だけではカバーできない領域が業務系アプリケーションである。
技術が先行するオープンソースソフトウェアは、このレイヤーには浸透しないだろうと言われていた。しかしながら、CRM(CustomerRelationshipManagement)の分野でオープンソースソフトウェアを開発し、成功を収めようとしている企業が出てきた。それが、SugarCRM(注1)である。
SugarCRMは、企業名にもなっている、「SugarCRM」という顧客管理ソフトウェアを開発している会社で、基本パッケージをオープンソースとして公開している。オープンソース版の「SugarCRM OpenSource」は、SugarForgeという開発コミュニティでソースコードが公開されている。このコミュニティでは、開発者だけではなく、コンサルタントや営業担当者も参加して、開発が進められている。
ライセンスは、「Mozilla Public License」を基にした「Sugar Public License」である。ユーザーは、自社に合わせてソースコードを自由に改変することが可能だ。パートナーベンダーに再配布する場合に限って、ソースコードを公開する必要がある。
SugarCRMでは、オープンソース版のほかに、商用版の「SugarCRM」を販売しており、オープンソース版と合わせて、デュアルライセンス形式を採っている。商用版には、CRMで欠かせないMicrosoft Outlookとの連携プラグインなどが含まれる。
CRM業界は、最大手のシーベルがオラクルに買収されるなど、再編の嵐が吹き荒れており、ビジネスモデルも変わってきている。シーベルは、当初ソフトウェアライセンスで収入を上げていたが、最近ではオンデマンド型のサービスを提供し、サービス収入のほうがライセンス収入を上回っている。また最近では、ホスティングで提供されるASPタイプのセールスフォース・ドットコムのような企業がシェアを伸ばしてきている。セールスフォース・ドットコムは、5ユーザーまで利用可能なTeam Editionが年額9万6,000円で提供されており、中規模企業向けのProfessional Editionでは1ユーザーあたり月額7,500円、大規模企業向けのEnterprise Editionは1ユーザーあたり月額1万5,000円とリーズナブルな価格をセールスポイントにしている。
SugerCRMは、オープンソースを使ってセールスフォース・ドットコムの半額程度という、さらに安い価格でパッケージ販売およびホスティングサービスを提供している。
SugarCRMの売り上げは、廉価な商用版「SugarCRM」のライセンス収入と、ホスティングやカスタマイズなどのサポート収入が中心となっている。
国内で「SugarCRM OpenSource」を利用してホスティングサービスを提供している会社のラインナップを見ると、サポートがないもので、月額5,000円である。サポートが月に5件までついているものでも、月額3万5,000円となっている。ディスク容量が200MBまでとなっているが、ユーザー数は30人程度を推奨している。
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書籍紹介 「Linuxオープンソース白書2006 新たな産業競争力を生む、オープンソース時代の幕開け」
※本連載はインプレスより発行の書籍「Linuxオープンソース白書2006」(ThinkIT監修)から一部抜粋し、転載したものです。
■本書の構成
第1部のユーザー企業利用動向では、605社の情報システム管理者に聞いた独自調査データ177点を掲載。プレゼン用に、すべてのデータをCD-ROMに収録。
第2部の事業者動向では現在から将来のLinuxオープンソースビジネスを解説。
第3部の社会動向ではオープンソースの普及に向けて、教育や法律、そして世界各国の政府から地方自治体の取り組みまでを紹介。
「Linuxとオープンソースのビジネスの今」をすべて収録した「Linuxオープンソース白書2006」のご購入はコチラから
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