(1)Linuxの開発プロジェクト
【カーネル】 Kernel.orgにおいて、メーリングリストを利用したカーネルの開発が行われている。Linux1.0(1994年)にコードを提供したコア開発者は80名であったが、Linux2.6(2003年)のコア開発者は3000名、モジュールごとのメンテナーは100人を超えるプロジェクトに発展した(注1)。
【プロセッサー】 IA-64、Alpha、PowerPC、PA-RISCなどに特有のアーキテクチャーに関しての開発プロジェクトが存在する。
【ファイルシステム】 EXT3、IBMJFS,XFS、ReiserFSなどの開発プロジェクトが存在する。
【デバイスサポート】 ビデオ、SCSI、NWカードなど数多くのデバイスサポートプロジェクトが存在する。
注1:
Steven Weber, "The Success of Open Source," Harvard University Press, 2004.
(2)ウェブサーバーの開発プロジェクト
【Apache】 最初の公開バージョンApache0.2(1995年)以来、市場に受け入れられ、現在70%を超える普及率を世界のオープンソース開発プロジェクト誇る。配布ライセンスとしてBSDスタイルのApache Software Licenseを採用し、ビジネスに利用しやすい。
【JBoss】 オープンソースで開発されているJ2EEアプリケーションサーバーで、1999年にオープンソース開発運営を開始。JBossのライセンスはLGPL(Lesser GPL)なので、商用利用であってもプロダクトの利用はフリーである。
【Zope】 オープンソースのアプリケーションサーバー兼コンテンツ管理システム。ゾープ社が1999年に自社のソフトウェアをオープンソース開発に移行したもの。政府や自治体、教育機関などを中心に、世界的に広がっている。ライセンスはBSDスタイルのZope Public License。
(3)プログラミング言語の開発プロジェクト
【GCC】 プログラミング言語(C、C++など)を機械語に翻訳するコンパイラーで、GNUプロジェクトのコアに位置している。Linuxを成立させるうえで欠かせないもののひとつ。
【Perl】 1989年からフリーソフトウェアとしての開発が始まったプログラミング言語。2000年にPerl Foundation(NPO)を設立した。
【Python】 1991年からオープンソース開発が始められたウェブアプリケーション用のプログラム言語。2001年にPython Software Foundation(NPO)を設立した。
(4)デスクトップの開発プロジェクト
【KDE】 1999年にVer1.1.1(Linux用)をリリース。統合デスクトップ環境を実現するオープンソース開発プロジェクトである。
【GNOME】 1999年にVer1.0をリリース。デスクトップインターフェイス開発プロジェクトで一切の商用ソフトウェアを含まないフリーソフトウェアを目指す。GNOMEはMozillaソフトウェアの一部を利用しており、Mozillaとの統合を目指している。
【Mozilla】 ネットスケープ社が1998年、自社のウェブブラウザーをMozillaプロジェクトとしてオープンソース開発に移行した。企業ソフトをオープンソース開発に移行した初めての大規模なプロジェクトである。2004年末にリリースされたFirefoxはリリース10か月で8%の市場普及率を果たした。
【OpenOffice】 MicroSoftOfficeと高い互換性のあるオープンソースのオフィスワーク用ソフトウェア。OpenOfficeの基となったソフトは、サン・マイクロシステムズ社が1999年に買収したドイツのスターディビジョン社の「StarOffice」(日本での名称はStarSuite)。同社がStarOfficeのオープンソース開発を推進している。
(5)データベースの開発プロジェクト
【PostgreSQL】 UCBerkeleyで1980年代に始められたPOSTGRESをオリジナルとするデータベースエンジン。イングレス社、インフォミックス社の商用製品に使われていたが、1995年にオープンソース開発活動を開始した。日本ではユーザー会の活動が盛んで、3000人の会員を擁する。商用利用がしやすいBSDライセンスである。
【MySQL】 オープンソースとして世界で最も普及しているデーターベース管理システム。Apache+MySQL+PHPのセットでウェブアプリケーションとして普及しており、200万件以上のユーザーが登録している。GPLと商用ライセンスのどちらでも選べるデュアルライセンスのビジネスモデルを採用しており、商用利用と商用パッケージ組み込みの場合は商用ライセンスに従う。
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