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Linuxオープンソース白書2006
世界のオープンソース開発プロジェクト

ガバナンス強化や企業との仲介などNPOの役割が重要に、自社ソフトのオープンソース化で企業による運営も
著者:NTTコムウェア  竹川 直秀   2005/10/18
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はじめに

ThinkIT会員特典20%OFF    ここでは世界のオープンソース開発プロジェクトを挙げて、その運営面を概観する。

   Linux以降のオープンソース開発プロジェクトの変遷には、大きく分けると次の潮流があった。

(1)Linuxによるオープンソース開発プロジェクトの成功(LinuxKernel1.0:1994年より)
(2)企業ソフトウェアをオープンソース開発に移行したプロジェクト(Mozilla.org:1998年より)
(3)開発NPOによってオープンソース開発のガバナンスを分担するプロジェクト(Apache:1999年より、GNOME:2000年より、Mozilla:2003年より)
(4)ベンチャー企業がオープンソース開発と同時にビジネスを展開するプロジェクト(MySQL:1995年より、Zope:1997年より、JBoss:2001年より)

   以下、具体的なプロジェクトを紹介する。


各分野を代表する開発プロジェクト

(1)Linuxの開発プロジェクト
【カーネル】
Kernel.orgにおいて、メーリングリストを利用したカーネルの開発が行われている。Linux1.0(1994年)にコードを提供したコア開発者は80名であったが、Linux2.6(2003年)のコア開発者は3000名、モジュールごとのメンテナーは100人を超えるプロジェクトに発展した(注1)。

【プロセッサー】
IA-64、Alpha、PowerPC、PA-RISCなどに特有のアーキテクチャーに関しての開発プロジェクトが存在する。

【ファイルシステム】
EXT3、IBMJFS,XFS、ReiserFSなどの開発プロジェクトが存在する。

【デバイスサポート】
ビデオ、SCSI、NWカードなど数多くのデバイスサポートプロジェクトが存在する。

注1: Steven Weber, "The Success of Open Source," Harvard University Press, 2004.


(2)ウェブサーバーの開発プロジェクト
【Apache】
最初の公開バージョンApache0.2(1995年)以来、市場に受け入れられ、現在70%を超える普及率を世界のオープンソース開発プロジェクト誇る。配布ライセンスとしてBSDスタイルのApache Software Licenseを採用し、ビジネスに利用しやすい。

【JBoss】
オープンソースで開発されているJ2EEアプリケーションサーバーで、1999年にオープンソース開発運営を開始。JBossのライセンスはLGPL(Lesser GPL)なので、商用利用であってもプロダクトの利用はフリーである。

【Zope】
オープンソースのアプリケーションサーバー兼コンテンツ管理システム。ゾープ社が1999年に自社のソフトウェアをオープンソース開発に移行したもの。政府や自治体、教育機関などを中心に、世界的に広がっている。ライセンスはBSDスタイルのZope Public License。

(3)プログラミング言語の開発プロジェクト
【GCC】
プログラミング言語(C、C++など)を機械語に翻訳するコンパイラーで、GNUプロジェクトのコアに位置している。Linuxを成立させるうえで欠かせないもののひとつ。

【Perl】
1989年からフリーソフトウェアとしての開発が始まったプログラミング言語。2000年にPerl Foundation(NPO)を設立した。

【Python】
1991年からオープンソース開発が始められたウェブアプリケーション用のプログラム言語。2001年にPython Software Foundation(NPO)を設立した。

(4)デスクトップの開発プロジェクト
【KDE】
1999年にVer1.1.1(Linux用)をリリース。統合デスクトップ環境を実現するオープンソース開発プロジェクトである。
【GNOME】
1999年にVer1.0をリリース。デスクトップインターフェイス開発プロジェクトで一切の商用ソフトウェアを含まないフリーソフトウェアを目指す。GNOMEはMozillaソフトウェアの一部を利用しており、Mozillaとの統合を目指している。

【Mozilla】
ネットスケープ社が1998年、自社のウェブブラウザーをMozillaプロジェクトとしてオープンソース開発に移行した。企業ソフトをオープンソース開発に移行した初めての大規模なプロジェクトである。2004年末にリリースされたFirefoxはリリース10か月で8%の市場普及率を果たした。

【OpenOffice】
MicroSoftOfficeと高い互換性のあるオープンソースのオフィスワーク用ソフトウェア。OpenOfficeの基となったソフトは、サン・マイクロシステムズ社が1999年に買収したドイツのスターディビジョン社の「StarOffice」(日本での名称はStarSuite)。同社がStarOfficeのオープンソース開発を推進している。

(5)データベースの開発プロジェクト
【PostgreSQL】
UCBerkeleyで1980年代に始められたPOSTGRESをオリジナルとするデータベースエンジン。イングレス社、インフォミックス社の商用製品に使われていたが、1995年にオープンソース開発活動を開始した。日本ではユーザー会の活動が盛んで、3000人の会員を擁する。商用利用がしやすいBSDライセンスである。

【MySQL】
オープンソースとして世界で最も普及しているデーターベース管理システム。Apache+MySQL+PHPのセットでウェブアプリケーションとして普及しており、200万件以上のユーザーが登録している。GPLと商用ライセンスのどちらでも選べるデュアルライセンスのビジネスモデルを採用しており、商用利用と商用パッケージ組み込みの場合は商用ライセンスに従う。

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書籍紹介
「Linuxオープンソース白書2006
新たな産業競争力を生む、オープンソース時代の幕開け」

※本連載はインプレスより発行の書籍「Linuxオープンソース白書2006」(ThinkIT監修)から一部抜粋し、転載したものです。
Linuxオープンソース白書 2006
■本書の構成
第1部のユーザー企業利用動向では、605社の情報システム管理者に聞いた独自調査データ177点を掲載。プレゼン用に、すべてのデータをCD-ROMに収録。
第2部の事業者動向では現在から将来のLinuxオープンソースビジネスを解説。
第3部の社会動向ではオープンソースの普及に向けて、教育や法律、そして世界各国の政府から地方自治体の取り組みまでを紹介。
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INDEX
ガバナンス強化や企業との仲介などNPOの役割が重要に、自社ソフトのオープンソース化で企業による運営も
はじめに
  開発NPOの役割
Linux/オープンソース白書2006
オープンソースの基礎知識
オープンソースの基礎知識
世界のオープンソース開発プロジェクト
キーマンインタビュー
OSS推進の理由と活動の展望
オープンソースを武器に拡大戦略をとるワイズノット
ERP業界にオープンソースで挑戦するビーブレイクシステムズ
再び拡大期を迎えるLinuxオープンソースビジネス
再び拡大期を迎えるLinuxオープンソースビジネス
オープンソースを中核にした新世代のベンチャー企業
SI事業者におけるオープンソースの位置付けと今後の可能性
組み込み分野の動向を変化させるオープンソース
Linux技術者の認定資格「LPI」国内の現状報告
Linux技術者の認定資格「LPI」国内の現状報告
実態調査で見るユーザー企業の利用動向
第1回 Linuxとオープンソースソフトウェアの認知度
第2回 サーバーOSの導入状況
第3回 ディストリビューション
第4回 技術者教育
第5回 オープンソースソフトウェアの導入意向
成長するLinuxオープンソースビジネス
第1回 レッドハット株式会社(Red Hat K.K.)
第2回 ノベル株式会社(Novell Japan,Ltd.)
第3回 ミラクル・リナックス株式会社(MIRACLE LINUX CORPORATION)
第4回 ターボリナックス株式会社(Turbolinux,lnc.)
第5回 モンタビスタソフトウエア(Montavista Software,lnc.)
第6回 日本アイ・ビー・エム株式会社(IBM Japan,Ltd.)
第7回 日本ヒューレット・パッカード株式会社(Hewlett - Packard Japan,Ltd.)
第8回 日本電気株式会社(NEC Corpotation)
第9回 富士通株式会社(FUJITSU LIMITED)
第10回 株式会社日立製作所(Hitachi,Ltd.)
第11回 デル株式会社(Dell Japan Inc.)
第12回 日本オラクル株式会社(Oracle Corporation Japan)
第13回 日本SGI株式会社(SGI Japan,Ltd.)
第14回 日本ユニシス/ユニアデックス/日本ユニシス・ソリューション(Nihon Unisys,Ltd.)
第15回 リネオソリューションズ株式会社(Lineo Solutions,lnc.)
第16回 SAPジャパン株式会社(SAP Japan Co., Ltd)
第17回 サン・マイクロシステムズ株式会社(Sun Microsystems, lnc.)
第18回 日本BEAシステムズ株式会社(BEA Systems Japan,Ltd.)