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Linuxオープンソース白書2006
成長するLinuxオープンソースビジネス

日本オラクル株式会社(Oracle Corporation Japan)
著者:システム事業推進本部 担当マネジャー  根岸 徳彰   2006/1/18
Linuxを標準プラットフォームと位置付け、グリッドを核として次世代IT基盤を提案

ThinkIT会員特典20%OFF    当社は初期の段階から、Linuxのエンタープライズ向けのオペレーティングシステムとしての採用を積極的に進めてきた。1999年にLinux上で最初の商用データベース製品を販売して以来、データベース製品、アプリケーションサーバー製品、コラボレーティブ製品から統合業務アプリケーションパッケージに至るまで、すべての製品をLinuxOS上でサポートし、顧客への製品提供を行っている。

   2003年からは、Unbreakable Linux(アンブレーカブルリナックス)プログラムを、グローバルな取り組みとして推進している。当社は開発部門内に専任のLinuxカーネル技術チームを持ち、レッドハット、スーゼ、アジアナックスの3つのLinuxディストリビューションの提供ベンダーと強い技術協力関係を持っている。

   これにより、当社の製品をLinux上で使用する顧客に対して、重要な問題の場合にはLinuxカーネルへの修正の作成、提供を当社が自身で行うことも可能であり、このような非常に強力なLinuxサポートの体制ができているのである。

   また、社内システムへのLinux OSの採用も非常に積極的に行っている。たとえば、社内基幹業務システムへの採用や、4万5000人以上の全社員のファイル共有を1インスタンスでサポートするファイルサーバーなどである。顧客向けの運用サービス提供インフラの「Oracle On Demand」サービスにおいてもLinux OSを採用することで、低コストで信頼性の高いインフラを構築し、ビジネスを行っている。

   オープンソースへの取り組みにおいても、当社はオープンソースプロジェクトにて、Oracle Cluster File SystemやASM(Automatic Storage Management)ライブラリーなどの開発、提供を進めている。


Oracle RACによる利用範囲の拡大

   データベース製品は、Linux導入初期は小規模な部門サーバーやインターネットサイトにおいて適用することが多かった。しかし、近年はより大規模な基幹系システムや商用インターネットサイトなどの基盤インフラとしてLinuxOSを採用する例が増えてきている。そしてその一因となっているのが、Oracle Real Application Clustersである。

   Oracle Real Application Clustersとは、共有ディスク上のデータを複数のサーバー間で共有し、各ノードにおけるメモリー上のデータ同期は高速なインターコネクトを介して行うことで、高いスケーラビリティを実現できる画期的なクラスター技術である。

   これにより、従来は商用UNIXサーバーのSMPサーバーが必要とされた非常に大量の処理を、PCサーバーのラックマウント構成やブレードサーバー構成による低コストなハードウェア構成で対応できるようになった。つまり、Oracle Real Application ClustersとLinux OSの組み合わせによって、より大規模でミッションクリティカルなシステムへLinux OSを適用させることが可能になったと言ってもよいだろう。


低コストで柔軟性の高い次世代IT基盤を提供

   2005年に提供開始されたOracle Database 10gの最新リリースに関しては、すでにLinuxは開発のベースプラットフォームとして採用されている。そしてユーザー企業でLinux OSの企業システムへの適用は、もはや一般的なものとなりつつあり、今後は企業システムのグランドデザインに基づく標準インフラストラクチャーデザインにおいても、Linux OSを標準環境として採用する企業が増加するであろう。

   今後は、Oracle Database 10g、Fusion Middleware(フュージョンミドルウェア)、Enterprise Manager 10gにより、次世代IT基盤を提供してLinuxを標準プラットフォームとして位置付け、グリッドコンピューティングを推進していく。Fusion Middlewareは、プロセス統合によるシステム間の連携や、企業情報の可視化を実現するビジネスインテリジェンス製品を統合したアプリケーション基盤を推進する。

   また、Enterprise Manager 10gでデータベースとミドルウェアの統合運用管理を行い、情報システムにおける運用管理の複雑性を排除することで、コストの削減も実現する。これらの製品を推進し、企業の情報システムにグリッドコンピューティングによる低コストで柔軟性の高い次世代IT基盤の提供を進めていくのである。


書籍紹介
「Linuxオープンソース白書2006
新たな産業競争力を生む、オープンソース時代の幕開け」

※本連載はインプレスより発行の書籍「Linuxオープンソース白書2006」(ThinkIT監修)から一部抜粋し、転載したものです。
Linuxオープンソース白書 2006
■本書の構成
第1部のユーザー企業利用動向では、605社の情報システム管理者に聞いた独自調査データ177点を掲載。プレゼン用に、すべてのデータをCD-ROMに収録。
第2部の事業者動向では現在から将来のLinuxオープンソースビジネスを解説。
第3部の社会動向ではオープンソースの普及に向けて、教育や法律、そして世界各国の政府から地方自治体の取り組みまでを紹介。
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