エンジニアとデザイナの架け橋となるMicrosoft Expression(デザイナ視点)
ベクトルとピクセルの利点を統合するExpression Graphic Designer
Expression Graphic Designerは、WindowsアプリケーションやWebサイトのインターフェースに利用可能なデザイン要素を制作するツールである。ベクトルベースとピクセルベースの画像要素を統合し、ハイブリッドなグラフィック環境での作業が可能となる。ベクトルペイントツールとピクセルペイントツールを組み合わせることで、プロフェッショナルなグラフィックデザインを制作できる。
また、Microsoft OfficeやVisual Studio2005へとグラフィックスを組み込んだり、デザイン要素を様々なソフトウェアツールにエクスポートすることができるのも心強い。
独自のブラシを使うことでリアルなペイント効果を作成できますし、ビットマップ要素で定義したストロークをベクトルに変換することもできます。また、"フォトモンタージュ"という機能を使えば、パノラマ撮影やスキャンした複数の写真をひとつのイメージに合成することも簡単である。
斬新で魅力的なアプリケーションを制作するExpression Interactive Designer
Expression Interactive DesignerはWPFの能力を最大限に生かした、表3のような複数のメディア要素を組み合わせた、よりリッチなアプリケーションのインターフェースを作成できるツールである。
- ベクトル
- ピクセルイメージ
- 3Dコンテンツ
- ビデオ
- オーディオ
- アニメーション
XAML形式で保存したインターフェースデザインは開発環境であるVisual Studio2005で利用できるため、デザインをそのままアプリケーションのインターフェースに反映でき、全体的な生産性も向上するというメリットがある。
Expression Graphic Designerからデザイン要素を取り込んで、ベクトル/ピクセルデータを編集をすることもでき、アニメーションのタイムラインは時間ベースなので、フレームベースのタイムラインよりも操作能力が向上している。
独創的なWebサイトをレイアウトするExpression Web Designer
Expression Web Designerは、Webサイトを構築するWebオーサリングツールである。HTML/DHTML/CSS/XHTMLファイルにてWebサイトを制作するために必要なすべての機能が備わっている。デザインサーフェスツールを使用して位置やサイズを直接操作することにより、最新のCSSページレイアウトを生成できる。
さらにVisual Studio 2005やASP.NET 2.0との連携を実現したことで、Webアプリケーションを効率的にデザイン・開発・保守というWebサイト開発サイクルを運用できることが特徴である。
様々なWeb技術を駆使しながら、標準ベースのWebサイトをつくる時にその作業を手助けしてくれるツールといえよう。CSS標準とXHTMLをサポートしているので、すべてのWebブラウザに対応するWebサイトを簡単につくることができます。Visual Studio 2005で扱うこともできますので、Webサイトの制作においてデザイナとデベロッパーの協業が可能となると思われる。
Microsoft Expressionは相互運用性に優れ、Expression Graphic Designerで作成したデザインパーツを、「Expression Interactive Designer」で作制したユーザインターフェースやExpression Web Designerで作成したWebコンテンツ、Webアプリケーションに組み込むこともできる。
製品間のスムーズな統合により、ユーザの生産性も高まっていくだろう。現在、Expression Graphic DesignerとExpression Interactive DesignerはCTPとしてダウンロードできるが、Expression Web Designerと現在のCTPの更新版は今後数カ月以内に公開される予定だ。