負けないERP提案
業務ソフトとERPパッケージの違い
ERPパッケージの中にも業務ソフトからスタートしてERPパッケージとなったものも多数あります。1972年に創業した独SAP社も最初の製品は IBM社のメインフレーム上で動く原価管理ソフトであったと聞いています。それから30年余りがたち、1992年に販売を開始したSAP R/3は経営とITをキーワードにERPという新しいシステムカテゴリーを作りました。
業務ソフトとERPパッケージの両者はよく似ているのですが、実際にはその目的と仕組みが大きく異なります。以下からは、その点について説明します。
ERPのコンセプト
従来の業務システムは、日常業務を自動化・効率化することを狙いとした現場担当者や管理者のためのITだといえます。これに対して、ERPは企業経営という視点から経営効率や経営資源の最適化を狙いとした経営者のためのITだといわれます。そのキーワードとして、よく「全体最適」と「部分最適」という言葉が使われます。
販売管理システムは、営業部門の効率化や自動化によって、顧客情報の管理向上や受注活動を支援するための情報システムです。生産管理システムは、製品を低コストかつ迅速にムダなく生産するために、工場や生産管理部門の原価管理や製造工程管理を支援します。
また経理システムは、企業の活動を財務という視点で管理し、対外的に報告書を作成するために必要です。
ERPはこうした業務ごとのシステムを寄せ集めたシステムの集合体ではなく、企業全体からみた効率やムダの排除を狙っている経営者に特化したシステムです。経営の視点で情報を管理するということは、部門間にまたがる業務プロセス(ビジネスプロセス)の切り口で情報を見ることを意味します。これにより、ヒト、モノ、カネといった経営資源のムダを見つけやすくなり、コスト削減や業務効率の向上が可能となります。