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日本コンピューター・システム、中国オフショア開発セミナーを開催

2006/3/14
基本に返り、ソフトウェア海外調達を考える

   日本コンピューター・システム(以下、NCS)は「中国オフショア開発セミナー 〜 基本と本音のソフトウェア海外調達 〜」をNCS東京本社にて開催した。

   「米国が海外発注をして成功したのは、単価を抑えたのではなく、ビジネスモデルを構築できたから」と、NCS 本部企画室 コンサルタント 新保 康夫氏はオフショア開発をするにあたり、経営者が自分たちのコアコンピタンスを見直して、新たな経営戦略の中にオフショア開発を位置付けることが重要だと述べた。

NCS 本部企画室 コンサルタント 新保 康夫氏
NCS 本部企画室 コンサルタント 新保 康夫氏

   また、「日本国内では提案書やRFP作成についてきちっと作成している企業はない。そういった感覚で用件定義をせずにオフショア開発を行うと、発注する側がいったこと以上はしてくれない。『なんでしてくれないの?』という話になってしまう」と、新保氏は日本国内のシステム開発についての現状がオフショア開発の失敗に結びつくことを述べた。

オフショア開発に際してのプロセス
オフショア開発に際してのプロセス

   あうんの呼吸でシステム発注が可能な国内でのシステム開発とは違い、言葉や文化の壁を越える必要があるオフショア開発では提案書やRFP作成は必須だろう。


現場で問題となる注意点

   新保氏によるオフショア開発概要の解説に続き、NCS 課外推進課 課長 韓 旭氏による中国のオフショア開発現場の実情についての説明があった。

   UNIXサーバは言語の違いにより問題点が多いので、特に注意が必要だという。いくら国内で「日本語に対応している」と謳われているUNIXサーバであっても、日本語処理はサーバごとに細かい違いがある。その小さな違いであっても大きな問題点となる可能性があるので、必ず事前に注意する必要があるという。

NCS 課外推進課 課長 韓 旭氏
NCS 課外推進課 課長 韓 旭氏

   また、ソフトウェアについても注意が必要である。中国では日本語版のソフトウェアの入手が困難なので、評価版を入手する・日本から送付するなどの方法でしかオフショア開発現場にソフトウェアを送付できないという。そのため、オフショア開発の発注時に必要なソフトウェアを不足なく準備する、国内から郵送する経路を確保する必要があるという。

   中国の環境で問題なく稼動していたシステムを国内で稼動させたら、メニューを立ち上げただけでフリーズしてしまった例もあったという。こういった問題は多くのリソースが必要となるWeb開発の大型オフショア開発の案件に特に多いという。

オフショア開発時に特に注意する事項
オフショア開発時に特に注意する事項


機密情報流出の防止

   機密情報流出を防止するため、相手の担当者だけではなく、経営者や部長クラスの責任者を交えて機密保持について打ち合わせをする必要があるという。

   「中国は離職率が高く、2・3ヶ月で転職する例も多い」と韓氏は中国の現状を踏まえた上で、機密保持の文書管理を徹底しないと機密情報が流出してしまう可能性が高いという。

   2つの講演で中国オフショア開発についての概要解説と現場の本音紹介が行われたが、オフショア開発での問題は海外だからというわけではなく、本来国内でのシステム発注でも起こりうる課題と本質は同じであると思われた。今後は日本国内でのシステム開発でもあうんの呼吸ではなく、RFP作成などによって要求定義の明確化をする必要があると感じられた。