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株式会社日立製作所 |
日立製作所、システムのSOA化による環境変化へ迅速な対応を実現する「JP1 Version 8」のデモを公開 2006/5/31
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障害への自律的対処を可能とするノウハウのルール化
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5月31日、日立製作所は統合システム運用管理ツールであるJP1 Version 8を発表した。同製品は「日本版SOX法対応へのITガバナンス機能の強化」「SOAへの対応の強化」という2つの特徴があるという。情報・通信グループソフトウェア事業部 システム管理ソフトウェア本部 システム管理ソフトウェア設計部長 石井武夫氏は「ビジネス環境が変化してもサービス品質を維持することは多くのユーザが望む点です。JP1 Version 8は監視から判断・対処を含めた運用ノウハウのシステム化を実現し、SOAシステム運用のPDCAサイクルを最適化します」と、ビジネスの状況に応じて適切な対処を自律的に行うと強調した。
石井武夫氏
従来はシステムになにかトラブルが発生した際には、人が判断した上で運用手順書に沿った対応を行っている。しかしJP1 Version 8は監視から判断、対処までを自動化して柔軟な運用を実現するという。
従来のモニタリング
つまり、確認・判断・対処の運用ノウハウを「ルール」としてシステム化し、SOAシステムの問題発生から次の順で対処までを可能とするという。
- 監視サービス全体の状況把握のための情報収集
- 調査・確認結果に基づいて適切な対応を自動に判断
- 業務状況に応じたタイミングでの対処
表1:JP1 Version8によるトラブルへの自立的対処
また、業務状況によって管理者が介入して直接対処することも可能とのこと。
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ECサイト運営のデモ
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続いて石井氏から「ECサイトでプレミアムチケット販売によるサービスレスポンスの低下」についてのデモが行われた。
デモ内容
チケット販売処理において際、「監視」によりレスポンス低下がわかると、各サーバの稼働状況やアクセス数などが「確認」される。そして、レスポンス低下に対して各種サーバのボトルネックやリソース不足、他のサービスのレスポンス情報に対しての「判断」がされ、ルールに従って具体的な「対処」が行われるのだ。
監視から運用までのプロセス
今回のデモでは、一般チケットサービスへのレスポンスの低下が起きていることが「確認」され、レスポンス低下に対するビジネス的な観点から対処することが「判断」された。そして、いくつかの選択肢の中から「チケット販売システムへのアクセス制限」という「対処」が行われた。
デモ画面
このデモでは「確認」「判断」といった、これまで人が行っていた部分を、JP1 Versin 8が定義されたルールに従って自動的に行っている。これは自動的といっても、ビジネスへの影響を考慮するということが大きな特徴であり、経営とITの統合への第一歩といえよう。
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テクニカルパートナーの新設
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今回のJP1 Version 8の製品発売にともない、システム運用のコンサルティング・システム構築を行う「テクニカルパートナー」を新設すると発表があった。従来からJP1パートナーとして「販売パートナー(導入コンサルティング・提案・販売)」「連携パートナー(動作検証済みの日立製作所認定製品)」があったが、今回新設する「テクニカルパートナー」をあわせて「JP1エコシステム」という協業体制にするという。
JP1エコシステム
これはJP1技術者によるサポートを望む企業の声を反映してとのことであり、今後のパートナー戦略強化への第一歩となる。
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ビジネス視点で活用できるJP1 Version 8
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日立製作所は「サービス視点」「自律的システム」というキーワードにおいて、変化の激しいビジネス環境に対応を掲げている。今回のJP1 Version 8の「トラブルへのルール化による自動対応」「IT全般統制のPDCAサイクルの強化」により、そのキーワードはより強固なものになったのではないだろうか。
コスト削減により情報システム部門の人的リソースが不足していることは多くの企業で大きな問題となっているが、JP1 Version 8は「ITガバナンス」「なにかしらの事案への対応」といった情報システム部門が抱える問題を削減できることが期待できる。
こういった不定型な業務については、もはや当たり前となっているITアウトソーシングでは解決できていないことが多い。しかし、ルールに従った自律的な判断をJP1 Version 8を通じて行えるのであれば情報システム部門にとっては魅力的ではないだろうか。
そして、昨今ではWinny問題による情報流出など社員が原因となる問題が頻発しており、それらは単にニュースで流れるという物ではない。円滑に行えるITガバナンスは身近な物として企業の価値を守るためには防止不可欠なものといえよう。
また、「JP1エコシステム」が発表され、「テクニカルパートナー」が追加されたが、この制度によってどのくらい企業の運用効率が向上するかというところにも注目できるのではないだろうか。
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