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株式会社日立製作所
株式会社日立製作所

人の判断が介在するビジネスプロセス対応をデモで紹介、日立製作所がHITACHI Open Middleware World 2006 Summerを開催

2006/7/10
Cosminexusによる見積り業務の改善手法を実現

   7月5日、日立製作所は同社が展開するミドルウェアを紹介するHITACHI Open Middleware World 2006 Summerを開催した。ここで開催されたSOAセッションにおいて、株式会社日立製作所 ソフトウェア事業部 部長である林重年氏は「経営戦略の迅速かつ柔軟な実現に向けて」という講演についてデモを交えて行った。

日立製作所の林重年氏
日立製作所の林重年氏

   まず、見積り業務をCosminexusによって改善するという「対話型ワークフロー」のデモンストレーションが行われた。これによって、ユーザ企業は現場の経験に依る複雑な判断が必要な業務についてもシステムで対応できるのだという。

   ここでは「システムにまたがった情報交換でユーザが苦労している」「複数の部署への業務の展開をメールで行っている」という、ある企業が抱えている問題を元に見積り支援システムによって業務がいかに改善するかといったデモが行われた。見積り支援システムは「業務コラボレーションポータルDASH」というGUIのフロントエンドにて操作が行われた。

   流れを簡単に説明すると、「見積りの申請」というワークフローを営業部門から流すと、それは設計の主任技師のところへ届く。それを受け取った主任技師は、見積りシステム上で見積りに「コメント記入」と「確認のチェック」を行うのである。

営業によるワークフローの作成
営業によるワークフローの作成

   最後に「見積りの承認」という業務が残っているので、主任技師のチェックしたワークフローは承認者である課長の元に届く。それを確認した課長は見積りを承認し、すべての社内業務を完了したワークフローが営業部門に戻ってくるのである。このことにより、業務進捗の完全な把握と業務のスピードのある遂行が可能となるという。


Eclipseをベースとした開発支援ツールのデモ

   続いて、メッセージフローによるサービス連携を実際に開発するデモンストレーションが行われた。使用するツールの開発画面は多くのエンジニアが利用しているEclipseをベースとしており、独自の操作方法を覚える必要はない。

   例えば、すでに使用されているワンストップ(自動処理される)サービスに新しいビジネスプロセスを追加する場合、エンジニアは新規ビジネスプロセスについての簡単な設定をし、新たなコネクションをマウスで繋げるだけで可能になるという。

既存のものに新たな業務プロセスの追加
既存のものに新たな業務プロセスの追加

   もちろん開発者だけではなく、システムを利用するユーザにとっても使いやすいシステムにしていく。Web2.0時代にふさわしいリッチな環境についても実現し、視野性の高いユーザビリティの向上を進める。日立製作所はデザイン部門を擁しており、顧客要望によりデザイン面に力を入れたシステム構築の実例もあるとのこと。

   既述の「メッセージフロー」はBPELによる業務フローの自動処理であり、競合他社も実現しているだろう。しかし、日立製作所が強みとしているのは現場のノウハウが必要な「対話型ワークフロー」の部分となる。

   海外では業務区分が明確であり、BPELによる業務フロー処理のみで十分な業務改善ができる。しかしすり合わせ文化といわれる日本においては、複雑な判断が必要とされる現場への対応が必須である。このことをITで実現するためのはっきりとした答えはまだないと思われるが、「対話型ワークフロー」はその答えに最も近いものではないだろうか。