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【基調講演】Unveiling Red Hat Enterprise Linux 5〜Red Hatが送り出す、新たな企業システム向けLinuxディストリビューションの世界
【HP/Red Hat】 Open Source Summit

【基調講演】Unveiling Red Hat Enterprise Linux 5〜Red Hatが送り出す、新たな企業システム向けLinuxディストリビューションの世界

2006/11/15
オープンソースはエンタープライズ市場では不可欠な存在に

   ボストン出身である米Red Hat社のEnterprise Products Division,Worldwide Marketing & General ManagerSenior Vice PresidentであるTim Yeaton氏は、まず松坂大輔投手への交渉権をボストン・レッドソックスが獲得したことについて語り、会場は和やかな雰囲気につつまれた。続けてMicrosoftやSunがオープンソース市場に力を入れはじめている現状を踏まえ、エンタープライズ分野にとってOSSが不可欠な存在になっていると語った。

米Red Hat社のEnterprise Products Division,Worldwide Marketing & General ManagerSenior Vice President Tim Yeaton氏
米Red Hat社のEnterprise Products Division,Worldwide Marketing & General ManagerSenior Vice President Tim Yeaton氏

   「現在様々な企業のCIOには優先課題として、コスト削減や新ビジネスの推進、競争力の強化などあります。しかしプロジェクトのバックログや予算不足といった障壁があるのも、また事実です。この一因として、既存のインフラに柔軟性が足りず、様々な要求に応える新しいシステムへの変更が難しいということがあげられるでしょう。そこで求められるのがオープンソースのコアインフラを、よりダイナミックに、より柔軟にすることです」とTim Yeaton氏はオープンソースのインフラの重要性を訴える。

   この目的に対してRed Hatが考える解決法として、インフラの仮想化やSOA/Web 2.0を軸としたモジュラ方式のOSS、そしてそのすべてをカバーするベンダーであるRed Hatの存在をあげた。独自モデルからオープンソースへ移行するためのプラットフォーム作りをRed Hatが推進する。そのあらわれが先日のJBoss買収だという。

JBoss Enterprise Middleware Suite氏
JBoss Enterprise Middleware Suite


高い技術力を持つ開発者の目が光るOSSの現場

   また、Tim Yeaton氏は、Red Hatに関連するOSSの開発状況について次のように語った。

   「様々なOSSが開発されていますが、コミュニティによるものが約50,000パッケージあります。さらにコミュニティがプロセスとして動かしてものがあり、例えばFedora Coreでは約5,000のパッケージが開発されています。そしてRed Hatではその中からミッションクリティカルに対応できるように数ヶ月をかけ、1,500ほどのパッケージ開発に注力しています」

   このように、Red Hatを取り巻く多くのコミュニティや開発者の目から常に見られていることが、イノベーションのペースが速く、よりよいソフトウェアを生み出す土壌になっているという。

   Red Hatはこれまでにコミュニティへの参画・支援にはじまり、開発者サポートやOSSのテスト、プラットフォームに対するコミットメントを行ってきた。しかし今後はシステムの導入や教育といった分野により注力していく必要があるという。

   その中心となるのが今後提供するRed Hat Enterprise Linux 5だ。仮想化技術の導入でダイナミックかつ柔軟な一元管理が可能で、劇的なコスト削減やセキュリティの向上、持続的な可用性を実現するとのこと。自動化された管理ツールによってフレキシブルな運用を行えると同時に、ユーザはアプリケーション開発に注力できるようになるという。

仮想化により利点
仮想化により利点

   これまではいわゆるエッヂ系サーバでの採用が多かったLinuxとOSSだが、最近はミドルウェアの分野でも導入が進んでいる。さらに2007年にはBMPやインテグレーション、システム管理の面にも進出するとRed Hatは予想する。SOAのすべてがOSSで揃う時代を見据え、OSSの開発原則を基にしたビジネスを行っていく。

   「これは、まだOSS市場のはじまりにすぎません。イノベーションはますます迅速に進むようになるでしょう。コミュニティと共に新しい技術やアーキテクチャを積極的に使いながらユーザにソリューションやサービスを提供していきます」と締めくくった。

(ThinkIT編集局 神保暢雄)