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マイクロソフト、Microsoft Exchange Server 2007の製品戦略を発表

2006/12/12
「A New World Work」の元で、Microsoftの提唱する新しいオフィスシステム

   マイクロソフトは12月12日に「Microsoft Exchange Server 2007」(以下、Exchange Server 2007)の製品戦略説明会を開催し、「A New World Work」というキーワードの基、製品とサービスが連携して新しいニーズに応えていくことを発表した。

   「A New World Work」とは、物理的な距離を意識しないリアルタイムコミュニケーションに対するニーズの高まり、新法制度などによるコンプライアンス対応の整備、効率的な情報検索やコンテンツの管理の実現など、企業が求める新しい仕事環境を指す。これに対応するため、Micorosoft Office systemは新しいステージに立った。

   マイクロソフト インフォメーションワーカービジネス本部 本部長 横井 伸好氏は製品戦略をこう語る。「クライアント、サーバ、サービスが統合的に新しいオフィスシステムを実現していく。特にサービスでは、インターネットを介した企業内のサーバ運用支援やサーバを自社内で構築しない中小企業向けのホスティングサービスなどをExchange Hosted Serviceとして提供していく」と述べた。

2007 Micorosoft Office system
2007 Micorosoft Office system

生産性、管理性、セキュリティの3つにフォーカスしたExchange Server 2007

   初代発売より11年の歴史を経て5代目のバージョンアップとなる今回のExchange Server 2007のフォーカスエリアは、「生産性」「管理性」「セキュリティ/コンプライアンス」の3つだ。どれも多くの企業が抱えるビジネス課題と直結するテーマだろう。

マイクロソフト インフォメーションワーカービジネス本部 本部長 横井 伸好氏
マイクロソフト インフォメーションワーカービジネス本部 本部長 横井 伸好氏

   横井氏は、生産性向上について「Exchange Server 2007は2007 Office Systemとの連携を考えて開発した。よってこれまでのバージョン以上にOffice製品との親和性が高まり、業務効率が向上するだろう」と語る。

   さらに「Webブラウザやモバイル端末、携帯電話など、様々なフロントエンドからのリモートアクセスを実現した」という。いわゆる「Anywhere Access」の実現だ。これにより営業マンが外部からメールチェックをしたり、迅速性が求められるエグゼクティブの決裁などがこれまでよりも俊敏にできるようになるという。またメールだけでなくVoIPサービスもExchange Server 2007で統合的に提供するユニファイドメッセージングも実現した。

   「管理性」の面では、「クライアントユーザだけでなく、管理者の立場からも利便性を追求した」と横井氏は語る。「今回は管理ツールを強化することで、運用管理の簡素化、効率化をはかった。メールはいうまでもなくミッションクリティカルなシステムであるため、可用性、拡張性も配慮した設計となっている。しかもx64プラットフォーム対応により高性能も備えた」と横井氏は述べた。

   「セキュリティ/コンプライアンス」については、実演されたデモの様子からお伝えしよう。

情報漏洩、コンプライアンスに焦点を当てた設計

   例えば「個人情報が含まれるメールを誤って外部に送信してしまう」というインシデントは、メールによる個人情報漏洩によくある原因の1つだ。しかし、Exchange Server 2007では個人情報が含まれるメールを誤って送信してしまっても、外部には送信されない。クライアント画面には「監査部に送信されました」のポップアップが表示されるのである。

   この仕組みはこうだ。まず、Exchange Management Consoleより「トランスポートルール」を設定する。例えば、「メールの中に自社の電話番号以外の番号が含まれる場合、外部への送信を行わない」といったようなルールを設定することができる。ルールにあてはまるメールは、外部に送信されず監査部に送信されるというわけだ。

トランスポートルールの設定
トランスポートルールの設定

   もちろんこれだけでは、コンプライアンス対応にはならない。Exchange Server 2007では、すべてのメールのやり取りをリアルタイムでジャーナルに保存し、アーカイブして専用のストレージに保存する。実際のメールのやり取りを生のまま保存することで監査への対応を行う。

   そして、今回の肝ともいえるのが「モバイル端末のセキュリティ」だ。「モバイル端末をうっかり紛失してしまうこと」、これもよくあるセキュリティインシデントだ。通常社用で利用している場合は、パスワードロックをかけていることがほとんどだろうが、パスワードをクラックされて情報漏洩するリスクは残る。

   Exchange Server 2007では、紛失してしまったモバイルデバイスのデータをOutlookを介して完全に消去することができる。エンドユーザはリモートから紛失したモバイル端末の管理ができるため、これまで利便性と引き換えにモバイル端末が抱えていたリスクにも対応した。


17社がすでに導入を決定

   Exchange 2007は12月1日より販売開始されたばかりだが、すでに17社が導入を決定している。導入決定企業の1つであるニコンの決定理由は「グループ企業の連携強化、ビジネスの迅速性、強固なセキュリティ」と紹介された。


国内2年連続シェアNo.1

   国内統合コラボレーティ部環境市場において、マイクロソフトは「2年連続シェアNo.1」を獲得した。横井氏は「Outlookの操作性とExchangeのメッセージングサービスに特化した戦略がお客様に評価された」と胸を張る。

   これを受け、マイクロソフトでは「Exchange Server”Thank You No.1”キャンペーン」を実施する。キャンペーンの詳細は表1の通りだ。

Exchange Server 2007にアップグレードした場合
W-ZERO[es]を合計1,000台プレゼント(クライアント200台以上の規模の場合。1社10台まで)

Notes Dominoから移行した場合
x64サーバマシンを合計100台プレゼント(1社1台まで)

Exchange Hosting新規加入の場合
1ヶ月サービス無料

表1:Exchange Server”Thank You No.1”キャンペーン

   最後にExchane Server 2007の今後の販売促進戦略として横井氏は「アップグレードとマイグレーションの促進、Exchange Hosted Serviceの拡販とパートナーの拡充、IT技術者の教育の3点に力をいれていきたい」とまとめた。

(ThinkIT編集局  千本松 歩)