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Red Hat/JBoss Day:The Mainstream
Red Hat/JBoss Day:The Mainstream

ミッションクリティカルなシステムに利用されている野村総合研究所のJBossによる構築事例

2006/12/13
量よりも質が大切と語る野村総合研究所のオープンソース戦略

   12月13日に開催されたセミナー「Red Hat/JBoss Day:The Mainstream〜レッドハットとJBossの今とこれから〜」のビジネスセッションから「OpenStandiaが支える大規模システムでのオープンソース利用〜OSS+リッチクライアントのオンライントレーディングシステム〜」と題した、野村総合研究所の梶山 隆輔氏と城谷 勝氏の講演を紹介する。

   同社が注力しているオープンソースの製品としてOpenStandiaがある。これはオープンソースで組み合わせたスタックで、現在2つのプロダクト「OpenStandia/Application Server」「OpenStandia/Business Intelligence Server」がある。それ自体は無料で提供されている。

   梶山氏は同社がサポートしているオープンソースのプロダクト群をあげ、「現在サポートしている量は少ないが重要なのは質である」と述べ、企業システムに求められる信頼性と性能については保証できるものを選定してサポートサービスとして提供しているとした。

野村総合研究所 情報技術本部 オープンソリューションセンター 副主任テクニカルエンジニア 梶山 隆輔氏
野村総合研究所 情報技術本部 オープンソリューションセンター 副主任テクニカルエンジニア 梶山 隆輔氏

   締めくくりとして梶山氏は「今後もオープンソースソフトウェアの開発やコミュニティの支援などを通して、貢献していきたい」と語った。


ミッションクリティカルなシステムを支えるオープンソース

   JBossを利用した事例として、城谷氏からミッションクリティカルなシステムであるオンライントレーディングシステム「N-STAGE」の構築事例の紹介があった。城谷氏は取引を実際に行っている投資家の要望として、大きく以下の3つをあげる。

  • リアル時価を見ながら注文したい
  • 自己ポジションのリアル時価評価を知りたい
  • 注文結果(約定)を即座に知りたい


表1:投資家の要望

   これらの要望に応えるために、開発されたのがN-STAGEである。N-STAGEはリッチクライアントを採用し、常に変動する株価の動きをリアルタイムで表示できる。

N-STAGEのデモ画面
N-STAGEのデモ画面

   このシステムを裏で支えているオープンソースソフトウェアの1つがJBossである。今回のシステムに求められた性能要件は以下の通りだ。

投資家の
同時アクセス数
1,000人
取引所からの
電文受信性能
秒間1,000件以上
クライアントへの
配信性能
クライアント1台あたり秒間30件以上の受信性能
サーバ1台あたり秒間20,000件以上の対クライアント配布性能
その他 24時間運用
2重化構成による信頼性確保

表2:求められた性能要件

   このように要件としてはミッションクリティカルなシステムであるが、オープンソースソフトウェアを組み合わせることで十分な性能を発揮できているという。

野村総合研究所 インターネットトレードシステム事業部 城谷 勝氏
野村総合研究所 インターネットトレードシステム事業部 城谷 勝氏

   最後に城谷氏は、「ライセンス料がかからないOSSとライセンス料が必要なソフトウェアを比べた場合、要件に対して同じ機能や性能を提供できるのであれば、OSSを選択しないという理由がない」と述べ締めくくった。

(ThinkIT編集局  曽我 一弘)