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日本オラクル株式会社
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これからのオラクルの戦略とは〜Oracle Management Summit 2006開催

2006/12/5
オラクルの新たな戦略

   12月5日、赤坂プリンスホテルにて日本オラクル主催による「Oracle Management Summit 2006」が開催された。今回のテーマは「加速する進化、導く経営基盤」で、今回は特にここ数年オラクルが推進する買収戦略の意義や成果が語られた。会場には2,000人以上が集まり、オラクルのビジネス戦略への興味の深さがうかがえた。ここでは基調講演の様子をお伝えする。

多くの人が集まった今回のイベント
多くの人が集まった今回のイベント


3倍の成長を目指して

   はじめに日本オラクル 代表取締役社長 新宅 正明氏より挨拶が行われた。新宅氏はまず、「世界のGDPのうち情報産業は360兆円で全体の7.8%で成長を続けている。それに対して日本国内の情報産業のGDPは11〜13兆円であり非常に割合が低くなっているうえ、成長率が鈍っている」と日本の情報産業全体について述べた。

   「オラクルの売り上げ平均は1千億、関連ビジネスを含めると5千億であるが、今後オラクルがカバーするビジネス領域を広げ、3倍となる3兆円の売り上げを目指す」と今後の意気込みを語った。

日本オラクル 代表取締役社長 新宅正明氏
日本オラクル 代表取締役社長 新宅正明氏


新規投資は2割

   新宅氏は続けて「現在の企業のIT投資のうち、8割が保守や拡張など既存システム維持のためのコストとなっており、新規投資のコストは2割で非常に低く、情報資産へのIT投資の回転率が低くなっている」と現在の国内のIT投資の状況を述べた。「オラクルでは企業の保守費用の割合を下げ、企業のイノベーションにつながる戦略的投資につなげていきたい」と語った。

   同社はここ数年数々の企業を買収してきた。平均すると「1ヶ月に1社」買収する状況だという。これにより、オラクルのプロダクト数は4倍になった。新宅は次のステップは「サービスを支えるインフラとサービスの充実だ」と語り、今後様々な産業別のビジネスプロセスをオラクルのテクノロジーで統合することで「企業に新しいイノベーションが創出されていくことを目指したい」と意欲を見せた。


改革の原動力

   続いて竹中平蔵氏が特別講演を行った。竹中氏は組織を動かすのは「リーダーのパッションと細部に宿る戦略である」と述べ、改革を推進するための考えを紹介した。また今後の日本が世界の「ゲートウェイ国家」として「新しい結合を目指してほしい」と述べ、日本の産業に対してエールを送った。


企業買収戦略の目的

   続いてオラクルコーポレーション アプリケーション事業・日本担当シニア・バイス・プレジデント&ゼネラルマネージャであるWilliam Richard “Dick” Wolven氏が登場し講演を行った。Wolven氏も新宅氏と同様にITコストが増加する一方でIT投資の比率が下がっていることを嘆いた。このような中でオラクルは、「DataBase Grid Computing」「Fusion Middleware」「Information Age Applications」の3つの製品体系を提供することで、システム維持コストへの投資からイノベーションに導く投資へと変えていきたいと述べる。

オラクルの製品戦略
オラクルの製品戦略

   またオラクルが企業を買収する目的について、「システムを統合的に利用できるだけでなく、永続的なサポートを受けられること、オラクルの提供するSOAやセキュリティなどを享受できることなどユーザへのメリットは大きい」という。さらにWolven氏は「システムが複雑だとROIは低くなる。オラクルは買収戦略によってこれらを統合、簡略化してROIの最適化をはかっていく」と述べ、買収戦略の意義を強調する。

日本担当シニア・バイス・プレジデント&ゼネラルマネージャWilliam Richard “Dick” Wolven氏
日本担当シニア・バイス・プレジデント&ゼネラルマネージャ
William Richard “Dick” Wolven氏

   またオラクル傘下に入る企業としても「その製品を提供していく上でメリットは大きい」と語る。例えばERPを提供する企業は幅広いが、中でも中小企業が多い。製品として優れていてもグローバルな展開をするだけの体力がない場合、オラクルの傘下に入ることでそれが可能になるという。実際買収後の方が売り上げは伸びているという。

オラクルの戦略
オラクルの戦略

   またWolven氏は「オラクルにおける『ゲートウェイ』とは、新旧の結合である。レガシーシステムとオラクルのサービスを結合させることで新しいイノベーションを生み出すことができる」と語った。

   今後は「顧客の声を聞きニーズに柔軟に応えられるようにフォーカスして、パートナーと連携し積極的な需要創出を目指し、導入を進めていきたい」と今後の方針を語り講演を締めくくった。

問い合わせ先
日本オラクル株式会社
TEL:03-6238-8179
http://www.oracle.co.jp/

(ThinkIT編集局  千本松 歩)