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NEC 組込みソフトウェア開発環境セミナー

新時代の組込みシステムへの取り込み

2005/9/30
組込みソフトウェアの品質と開発

   組込みソフトウェア開発環境セミナーの基調講演では、北陸先端科学技術大学院大学の片山氏が組込みソフトウェアの品質と開発について語った。



   近年では組込みソフトウェアの品質が社会的に問題になっていることをあげ、このことが産業界に対して大きなダメージを与えていることを訴えた。今までのように経験に頼った手法では限界が訪れており、組込みソフトウェア開発は変革期に入ったという。

   片山氏は新しい信頼性のある枠組みが必要とし、それは科学的手法に基づくものではないかという。コンピュータのコードが正しいことを検証することは昔から研究されており、現在でもそれは続いている。コードを書く技術と検証する技術が組込みソフトウェアの世界でも必要になってきたという。

   しかし研究は進むが現場の方が追いついていないため、現場に新しい枠組みを如何に対応させるのかが課題ではないかとし、新時代の開発方法論を確立させる必要性を訴えた。

   新しい開発方法論として、オブジェクト指向が分析設計に適しており、再利用性も優れていることから有力だとするものの、動的な振る舞いが難しく適用しづらいという。しかし、MDA(モデル駆動型アーキテクチャ)を活用することで課題を解決していく方向性をみせた。また、分析レベルではUMLを用いることが可能で、設計から実装に関しては既存の技術でなんとかなるのではないかという。

   組込みシステムは通常のビジネスシステムに比べて、検証が難しく、高いスキルを持った人材が必要になるとした。また、テストには2種類が存在し、不変的性質の検証は定理証明技術が必要になり、詳細な検証が可能になるもののコスト高になってしまうとした。一方の動的性質の検証は機械的に行いやすいものだという。

   片山氏は以上のように、組込みソフトウェア開発の上流工程改善による高信頼性へのアプローチをはかっており、オブジェクト指向を使いつつも現場の技術者でも使えるものにしていくという。また、NECもツールの開発や適用経験から協力を行っていた。