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NEC、グリットコンピューティングへの取り組みを発表
2006/2/2
ITリソースの有効活用とコスト削減
NECは、2006年2月2日に「NEC Grid Management Forum」を開催した。
NEC グリッド推進センター センター長 石倉 直人氏は、現在ビジネス上には様々な課題があり、それらの解決策としてグリットコンピューティング技術が応用できると述べた。
NEC グリッド推進センター センター長 石倉 直人氏
グリットとは、送電線網(power grid)に由来した言葉で、ネットワークを介することで、いつでもどこでも様々な情報サービス(コンピュータの処理能力やデータベースの情報)を使用できるようにすることである。
石倉氏は、ビジネス上の大きな課題の1つとしてTCOの削減をあげ、グリットコンピューティング技術を用いて、ITリソースの有効活用をすることでTCOの削減が実現できるという。
現状では業務ごとのピーク負荷にあわせてリソースを用意している。それら業務間のITリソースをグリットコンピューティング技術によって共有することで、負荷の少ないリソースに一時的に業務の一部を移行し、ITリソースを有効活用できるという。
また業務システムの安定稼動のために業務システムごとに運用サーバと待機サーバを用意している。しかし、グリットコンピューティング技術によって待機サーバのリソースを共有することにより、サーバのコスト削減につながると語る。
事例紹介
石倉氏は事例として、NECの営業システム「BEAT」へのグリット技術適用実証実験をあげた。
締めの時期である月末に負荷がかかる基幹系の業務システムと、月のはじめに経営実績などの確認が多い検索系の業務システムがあり、その2つのシステムのリソースを共有したという。その結果TCOが20%削減されたと述べた。
また石倉氏はディザスタリカバリの実証実験としてマツダ株式会社の事例をあげた。
通常時は、バックアップリソースを他の業務に使用し、災害時に短時間でバックアップシステムに移行するシステムである。今回の実証実験では目標とした時間を達成し、約1時間30分で移行ができたと語った。課題はまだあるが、導入の意向があり、より信頼性をあげていきたいと語った。
今後の展望
グリットコンピューティング技術の今後の広がりとして、現在はデータセンタ内のみであるが、1〜2年後には企業内の広域グリッドになり、3〜5年後にはパートナー企業などとの企業間グリッドが完成し、最終的にはグローバルグリットとして発展させていきたいと石倉氏は語った。
グリットコンピューティングの今後の発展
またITリソースプロバイダ事業などの登場で新しい価値やビジネスが生まれるという。
グリットコンピューディングを支えるテクノロジー
今回のフォーラムではグリットコンピューティングを支える要として、次世代統合プラットフォーム「SIGMAGRID」、運用管理ツールとして「WebSAM」、サーバ統合手法として「ALCHEMIX」の3つを取り上げ、これらのテクノロジーによって高信頼バックボーンを担っていくと語った。
SIGMAGRIDは、スケールアップ型統合とスケールアウト型統合の両方の特長を兼ね備えた統合プラットフォームであり、複雑・分散化したITリソースを統合する。
SIGMAGRIDの柔軟な統合を実現するテクノロジーの1つとして、フローティングI/Oがある。これはI/Oモジュールを仮想化することによって、業務に応じたリソース配分を可能にする技術である。
SIGMAGRID
http://www.sw.nec.co.jp/products/sigmagrid/
WebSAM
http://www.sw.nec.co.jp/middle/WebSAM/
ALCHEMIX
http://www.sw.nec.co.jp/pfsol/
NEC
http://www.nec.co.jp/