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即活用!企業システムにおけるプロジェクト管理
「即活用!企業システムにおけるプロジェクト管理」

第1回:
プロジェクト管理力を強化するための具体的プラン

著者:システムインテグレータ  梅田 弘之   2004/11/16
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プロジェクト管理を国際競争力の切り札に

  最近、日本の国際競争力は低下傾向にあると言われています。家電や自動車、ゲームなどまだまだ元気な産業もあるでしょう。しかし、造船や鉄鋼、半導体のようにかつては花形だったのに、その地位を奪われつつある産業も少なくありません。まして、建設・土木業やIT産業は、国内需要に甘んじて努力を怠り、一度も国際競争力を持てる水準になったことがありません。

  IT業界の一員として、現在の国際競争力のなさに非常に歯がゆい思いがしています。しかし、なんとか巻き返しをと考えてみても、新技術の創造性、要素技術の保有、開発生産性、そして仕様や契約面でも、なかなか勝てる部分が思い当たりません。IT関連技術やソフトウェア製品は、米国やイスラエルなどの海外製品に圧倒され、残った労働力も中国やインド、韓国の技術者たちに脅かされつつあります。

  そんな中、唯一これが突破口になるのではと期待しているのが「プロジェクト管理」です。プロジェクトとは「ある目的を実現するために一定期間チームを組み、活動すること」と定義されています。1つの目的をチームワーク良く成し遂げるというのは、本来は日本人の得意分野のはずです。現に家電や自動車など成功した産業では、「品質管理」や「納期管理」「コスト管理」などを武器に世界のトップグループの座を射止めています。これらの産業では、長い歴史の中で品質向上、納期短縮、コスト削減というたゆまぬ努力を行ってきました。本連載では、これら製造業をお手本にして、「ソフトウェア開発におけるプロジェクト管理の強化」をみなさんと一緒に実現して行きたいと思います。


精神論から具体策へ踏み出そう

  ここ2〜3年、日本のIT業界においてもプロジェクト管理の重要さが再認識されています。数年前まで知る人が少なかったPMBOK(Project Management Body Of Knowledge)やCMM(Capability Maturity Model)などの言葉も、今では当たり前のように使われています。しかし、プロジェクト管理の大切やなぜ失敗を繰り返すのかという概念だけにとどまり、一過性のブームに終わってしまいそうな気配が感じられてきました。どういうアプローチでプロジェクト管理力を強化するか、どういうツールを使ってプロジェクトを管理するか、といった具体的な手法なりツールなりがないのです。

  近代スポーツの世界でも、ただ漫然とトレーニングを繰り返していては勝てません。強くなるためには、自己のステップアップの計画を立て、その種目に必要な筋力を科学的に強化するとともにイメージトレーニングも併用します。そして練習試合などで実戦も積み、その結果を次の強化プランに反映させます。一方、我々IT業界は、漫然と実戦(仕事)を繰り返しているだけです。敗戦(失敗)しても、それを次に活かす余裕も無く、いつまでたっても一流の選手になることができません。

  「プロジェクト管理は大切だ」「失敗しないために、こういうことに気をつけよう」という
精神論も重要だと思いますが、もうたくさんです。いつまでも能書きエリアに留まらず、次のステップに行きましょう。すなわち、具体的なプロジェクト管理強化プランを立て、それを実現するためのツールを用意し、それを実施させるための仕組みを作るのです。

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システムインテグレータ
著者プロフィール
株式会社システムインテグレータ  梅田 弘之
東芝、住商情報システムを経て1995年にシステムインテグレータ社を設立。 常駐・派遣主体の労働集約的な日本のソフトウェア業の中で、創造性にこだわってパッケージビジネスを行っている。 国際競争力のない日本のIT産業が、ここから巻き返しを図るための切り札は「プロジェクト管理」だと信じ、実践的なプロジェクト管理手法「PYRAMID」を自社開発している。


INDEX
第1回:プロジェクト管理力を強化するための具体的プラン
プロジェクト管理を国際競争力の切り札に
  プロジェクト管理力の強化プラン
  具体的なツールを提供します