|
|
1 2 3 4 次のページ
|
|
今後のリッチクライアント
|
第4回では現在著名なリッチクライアント製品/技術を紹介した。第5回では、今後の製品/技術動向からリッチクライアントの将来を占ってみる。
第1回〜第4回に渡り、リッチクライアントとして備わっていなければならない一般的な特徴の他に、普及という視点で見た場合に求められる条件もおぼろげながら見えてきた。筆者なりに整理すると表1のようにまとめられる。
|
- 開発者不足の解消(多くの開発者が従事できる)
-
- 既存技術の開発者にとって敷居が低いこと
- 既存の開発手法を変更せずに開発できること
- 制限の少ない利用環境(広く多くのPCで利用できる)
-
- 実行環境のインストールが容易であり、動作が軽量であること
- ダウンロードされるリッチクライアントアプリケーションが軽量であること(もしくは分割ダウンロードが可能であること)
|
表1:リッチクライアントに備わっているべき機能
|
ここからは表1のような条件をクリアするとともに、今後躍進が期待されるリッチクライアントを紹介していく。まずは図1を見てほしい。
|
図1:リッチクライアントの分類
|
図1は、現在のリッチクライアント製品を表現力とコーディング・スタイルに着目してカテゴリー分けしたものである。ご覧のように、現在のリッチクライアント製品の多くは、「2D GUI」および「通常のプログラミング言語」を採用している。なお、コーディング・スタイルは「開発者不足の解消」を解決する方向性を示すものと考えている。
今後、クライアントアプリケーションにはより豊かな表現力が求められるようになり、2D GUIから3D GUIへと進化していくと予想される。デスクトップ環境では、サンマイクロシステムズ社から「Project Looking Glass(図2)」が提供され、マイクロソフト社も次期OS「Longhorn」で「Aero Glass」を搭載する予定になっている。数年後には3D GUIを搭載したOSが一般化するかもしれない。となれば、当然、そうしたOS上で動作するアプリケーションも、徐々に3D GUIへと移行していくだろう。
|
図2:Project Looking Glassの画面例とアーキテクチャ 出所:サンマイクロシステムズ (画像をクリックすると別ウィンドウに拡大表示します)
|
また、コーディング・スタイルについては、マークアップ言語をベースにしたものが普及していくと筆者は見ている。UIの高度化が進んだ場合、今のプログラミング言語ベースの開発環境では、開発者に高度なプログラミング技術が要求されるため、開発者の確保が困難になる。しかし、プログラミングを簡素化してくれるマークアップ言語で高度なUIが開発できれば、開発者不足を解消し、なおかつ開発生産性の向上が期待できる。
3D GUIアプリケーションを開発できるマークアップ言語として、現時点で公表されている主なものには、マイクロソフト社の「XAML(Extensible Application Markup Language)」と、マクロメディア社のプレゼンテーションサーバ製品「Flex」で採用され始めた「MXML(Macromedia Flex Markup Language)」がある。
|
1 2 3 4 次のページ
|
|
|
|
著者プロフィール
株式会社野村総合研究所 田中 達雄
1989年4月に富士通株式会社に入社。ソフトウェア工学を専門分野とし「UMLによるオブジェクト指向開発実践ガイド(技術評論社出版)」を共著。2001年2月に野村総合研究所に入社。現在、情報技術本部にてIT動向の調査と分析を行うITアナリスト集団に所属。Webサービス/BPMなどの統合技術、エンタープライズ・アーキテクチャなどが専門。
|
|
|
|