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企業IT動向調査2005
ユーザ企業におけるIT動向調査2005

第5回:システム開発における委託先の関係
著者:日本情報システム・ユーザー協会   2005/8/31
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システムベンダーへの最大の不満は「提案力不足」

   今回は、システム開発における際の委託先について、各企業へのインタビューした結果を紹介する。システム開発において、システムベンダーやシステムインテグレータ、情報子会社などに仕事の依頼を行っている企業は全体の72.7%で、この結果は前年とあまり変わっていない。

   しかし23.2%の企業が、委託先に対し何らかの不満があると答えている。

   不満の内容は「企画提案力不足」が圧倒的に多く、回答企業のおよそ3分の1が、これを第1の不満としてあげている。類似する「こちらの指示への対応以上の仕事をしていない」も昨年から順位を上げて2番目の不満にあげられており、システムベンダーに対する企画や提案への期待と満たされない苛立ちの高さがうかがえる(図1)。

システムベンダーに対する不満点
図1:システムベンダーに対する不満点
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   「第2回:IT投資の傾向とハードウェアの導入動向」にて「業務プロセス・システムの再編」がIT投資の最重要項目の1つとしてあがっていることからもわかるように、IT部門自身が経営者や利用部門に求められている課題でもある。では、どのような提案を求めているのか。インタビューでわかった発注者としての声をいくつか紹介する。

  • 以前に実現できなかったことが、技術の発展などで「今ならできる」と提案してくれれば、それはうれしい提案

  • ITに特化したテクノロジーの方向性や適用範囲を示してほしい

  • ユーザサイドの見方からの提案

  • 昔は利用部門がビジネスフローを書いてIT化していたが、最近はITによりビジネスフローがブラックボックス化されているためもあり、ITによるビジネスモデル改革が期待されている。ビジネスに関わることはIT部門自身がやらないといけないとはわかっているが、考えるきっかけがほしい。例えば、他の業界でのITの活用事例やベストプラクティスを示してもらうとありがたい

表1:発注者としての声

   システムベンダーには業務プロセスの知識を理解した上での提案が求められているといえるが、ベンダーから満足のいく企画提案を得るためには、発注者自身も課題や目標を明確にし、共に考えていく姿勢やベンダーの業務知識習得サポートといった協力関係の構築が必要と考える。

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書籍紹介
「企業IT動向調査報告書2005」

本連載は日本情報システム・ユーザー協会より発刊されている「企業IT動向調査報告書2005」をもとに記事を掲載しています。上記調査報告書には、さらに詳しいデータや分析結果、考察が記載されています。調査資料のご購入は下記のリンクより行えます。

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日本情報システム・ユーザー協会
著者プロフィール
日本情報システム・ユーザー協会
社団法人 日本情報システム・ユーザー協会
ユーザーの立場からの産業情報化の推進を目的とし、大手ユーザー企業を中心に、約250社の会員を擁し、経営とITに関する様々なテーマや、立場に応じた40以上の委員会、研究会、研究プロジェクトを実施し、毎年、各種調査・研究報告書の刊行や、提言を行っている。1962年、日本データ・プロセシング協会として創立、1992年社団法人日本情報システム・ユーザー協会として、全面的に拡充改組。
http://www.juas.or.jp/


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