デスクトップ仮想化を支える技術

2010年6月8日(火)
平田 敦

今回は、「Citrix XenDesktop」(仮想デスクトップ環境ソフト)による「デスクトップ仮想化を支える技術」として、以下の2つの製品や技術について説明します。

  1. 「Citrix Provisioning Services」(仮想デスクトップで使用するOSイメージをストリーム配信する技術)
  2. 「Citrix EdgeSight」(Citrix XenDesktop、およびCitrix XenAppの性能と可用性を監視/管理するソフト)

Provisioning Servicesとは

Citrix XenDesktopによるデスクトップ仮想化は、ユーザー・プロファイル、アプリケーション、オペレーティング・システム(OS)を個々に管理します。このうえで、仮想デスクトップ環境をオンデマンドで構築・提供します。これにより、以前からあるデスクトップ管理の煩雑さを大幅に改善することが可能となります。

XenDesktopの構成要素の中でも、重要な技術がProvisioning Servicesです。ソフトウエアのストリーム配信技術を利用したソリューション(解決策)であり、仮想デスクトップ環境においてOSの配信をつかさどります。

データセンターで稼働しているサーバーのイメージや、クライアント機のデスクトップ・イメージを、このストリーミング配信技術を使用して、オンデマンドに、物理・仮想サーバーならびに物理・仮想クライアントに対して、ネットワークを通じて配信します。

Provisioning Servicesの使い方は、こうです。管理者は、Provisioning Servicesを使用してデバイス(マスター・ターゲット・デバイス)を準備し、そのデバイスに必要なソフトウエアをインストールします。次に、マスター・ターゲット・デバイスのディスクを基に仮想ディスク・イメージ(vDiskイメージ)を作成し、ネットワーク(Provisioning Servicesサーバーまたはストレージの場所)上に保存します。

Provisioning Servicesは、必要に応じてリアルタイムに、vDiskイメージをターゲット・デバイスにストリーム配信します。このとき、ターゲット・デバイスは、あたかもローカル・ディスクから実行しているように動作します。一般的なシンクライアント技術とは異なり、処理はターゲット・デバイスで発生します。

図1: Provisiong Servicesの動作概要

Provisioning Servicesの利点

Provisioning Servicesを使うと、管理性や柔軟性が高まります。それぞれの利点は、以下の通りです。

管理性の利点
  • サーバー・イメージのプロビジョニング、アップグレード、パッチの適用を簡素化・合理化できる
  • 管理しなければならないディスク・イメージ数や、必要なストレージ量を削減できる
  • IT部門は、同じアプリケーションを実行するすべてのサーバーに対して1つの仮想イメージを配信して管理すればよいため、サーバー・ファーム内に構築されたサーバーの一貫性を保証することが可能
  • サーバーをホット・スタンバイ構成で運用する必要性が減り、バックアップ・サーバーの数を削減することが可能
柔軟性の利点
  • 迅速にサーバーをプロビジョニングできる
  • イメージのロールアウトに必要な管理負荷(時間)を削減し、ロールアウトにともなうリスクを削減できる
  • 物理マシンと仮想マシンの両方にストリーム配信できる
  • 高可用性(HA)の構成により、単一障害点のリスクを回避できる
シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社
外資系サーバーベンダーのシステムエンジニアを経て、2004年にシトリックスに入社。テクニカルサポート部にて、社内、社外のエンジニアに対する新製品の技術支援や技術トレーニングを行うプロダクトサポートスペシャリストとして従事した後、現在は、マーケティング本部で、プロダクトマネージメント、テクニカルマーケティング、新製品のレディネス業務などを担当。

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