UMLの手軽で有効な利用方法

2010年9月7日(火)
中原 慶近藤 寛喜

1. はじめに

オブジェクト指向モデリング言語として誕生したUML(Unified Modeling Language)は、今日、ソフトウエア業界で広く利用されています。しかし、読者の中には「UMLを使ったことが無い」または「使ってみたが効果が無かった」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで、本連載では、UMLの導入に敷居の高さを感じている方を対象に、UMLを用いたモデル(以降、UMLモデル)の、手軽で有効的な利用方法を、筆者の経験を交えて紹介します。

なお、UML仕様に基づいた厳密で正確なモデルの作成方法や、モデル駆動開発の方法といった、敷居が高いトピックについては解説しません。もっと根本的なUMLモデルの活用方法を紹介します。

2. モデリングとモデルのメリット

2.1. コミュニケーション・ツールとしてのUML

UMLモデルについて解説する前に、そもそも「モデリング」や「モデル」とは何なのかを説明します。

あるお店の場所を表す案内図を例に考えてみましょう。お店の案内図は、最寄り駅や、大きな道路からお店までの経路を、特徴的な建物や交差点などを目印に、描かれています。この地図には、航空写真のような、厳密な建物の大きさや数といった情報は必要ありません。「顧客にお店の場所を示す」という目的に従い、必要最小限の情報(本質)だけを残しています(図1)。

このように、対象を、ある視点や目的にしたがって抽象化し、本質を際立たせる行為を、モデリングと呼びます。そして、ある視点で対象を抽象化したものを、モデルと呼びます。

図1: 航空写真(左)と、抽象化/モデル化した案内図(右)の例(クリックで拡大)
株式会社チェンジビジョン

生年月日: 1977年1月6日 大阪市出身。ソフトハウスにて大規模データベースシステムからCTIシステム、WEBシステム等、多種多様なシステム開発に従事する。しかし、次々に登場する理想的な技術と、実際の開発現場で使われる技術に温度差を感じる。そして、自分自身がよりよい技術を実際の開発現場に浸透させる橋渡しなろうと考え、株式会社豆蔵に入社。現在は、株式会社チェンジビジョンにて、理想的なコンセプトを現場に浸透させるためのツール開発に従事している。

株式会社チェンジビジョン

株式会社チェンジビジョンにて製品開発を行うかたわら、Eclipseプラグイン開発など、オープンソース活動に従事。OSGiなどアプリケーションのモジュール化技術に興味があり、趣味で実践し、仕事に生かしている。また、かんばんとスクラムなど、ソフトウェア開発に役立つ記事や書籍の翻訳活動にも従事している。

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