IIS 7の新しい運用形態
IIS 拡張が提供する Web ファームの管理機能
IIS 7では、既定で用意されている管理ツール以外に、IIS拡張として、複数台のWebサーバーで構成されたWebファームを管理するための Microsoft Web Farm Framework 2.0 for IIS 7(以下、WFF)が提供されています。
WFFは、Webファーム全体に対するプロビジョニング、台数調整、管理作業を支援します。WFFを使用するとファーム全体を一つのインターフェースで管理することができるので、複数サーバーにまたがるインストール、コンテンツの展開作業はもとより、サーバーファームに所属するサーバーの、最新のプロビジョニング状況や健康状態なども総合的に確認することができます。
図5:WFF概念図 |
またApplication Request Routing 2.0(以下ARR)とともに利用することで、負荷分散用に準備ができているサーバーがどれなのかを確認することができるため、サーバーの更新・入替・追加する作業にかかる工数を軽減することができます。ARRは、ネットワーク負荷分散、キャッシュサーバー、リバースプロキシ等のルーティング機能をIISに提供するIIS拡張です。
WFF、ARRを有効に利用することで、新規のソフトウエアやハードウエアを追加購入することなしに、アプリケーションサーバーのリソース稼働率を最適化することができ、Webファームおよび共有ホスティング環境の管理コストを削減することができます。
サービスとしての管理機能
IIS 7における管理機能の最も大きな革新は、インターネットを介した接続がサポートされたことでしょう。これにより、Webサーバーの管理そのものを、サービスとしてユーザーに提供することが可能になります。
モジュール化によって、柔軟に機能拡張が行えるようになったことも重要な点です。
豊富に用意されている、IIS拡張と組み合わせれば、一般的なWebホスティング サービスで提供されるメニューに負けない機能が提供できるかもしれません。
今回は紹介できませんでしたが、管理用IIS拡張には、IISマネージャーからSQL ServerやMySQLデータベースを管理できるDatabase ManagerやPHPランタイムの設定をユーザーフレンドリなGUIを使用して操作できるPHP Managerなど様々なものが用意されています。
これらの機能は、マイクロソフトが提供するクラウドサービスWindows AzureのWebロールを構成する IIS 7にももちろん使用することができます。
IIS 7は現在、ネットブックなどに搭載されている Starterエディションを除き、ほぼすべての最新のWindowsに搭載されており、簡単にインストールして使用することができます。そういった意味では、最も手軽に触れることのできるWebサーバーと言えるでしょう。
我々のチームでは、IISの分かりやすい手順書なども用意していますので、この機会にぜひ触れてみていただければと思います。
【参考文献】
- 「Microsoft Web Platform」
- 「IIS TechCenter」
- 「インターネットWebサーバー構築ガイドライン(ドラフト版)」
- 「PHP on Windows ガイドライン (ドラフト)」
- 「monoe’s blog」
- 「Hiroshi Okunushi's Blog ☆ミ」
(アクセス:2011/3)