TransitionEffectを使う、特殊効果を伴ったコントロールの表示(後編)

2011年4月21日(木)
PROJECT KySS

前編では、ListBox、DataGridコントロールにデータをバインドし、動作を確認するところまでを解説しました。後編では、RichTextBoxコントロールへのデータ表示について解説した後、Blend4上でTransitionEffectを使って、これらのコントロールに特殊効果を与える方法を解説します。

今回のサンプルは以下よりダウンロードできます(前回と同じファイルです)。
→ 今回のサンプルファイル(16.6MB)

まずは、RichTextBoxにXMLデータを表示させるところからの解説です。

RichTextBoxの設定

ツールボックスよりRichTextBoxをドラッグ&ドロップします。プロパティのIsReadOnlyにチェックを入れて編集ができないようにしておきます。x:Nameについては図1を参照してください。

図1:RichTextBoxを配置した(クリックで拡大)

TransitionEffectElementShow.xaml.vb内、にXMLデータを表示するコードを記述します(リスト1)

ロジックコードを記述する

リスト1 (TransitionEffectElementShow.xaml.vb)

RichTextBoxに関する箇所のみの解説です。ListBox、DataGridに関する解説については、前編を参照してください。
Option Strict On
~名前空間の読み込みと各クラスの定義は略~
■TransitionEffectElementShowユーザーコントロールが読み込まれた時の処理
RichTextBoxにXMLデータを表示するRichTextBoxShowプロシージャを実行します。
	Private Sub TransitionEffectElementShow_Loaded(ByVal sender As Object, ByVal e As System.Windows.RoutedEventArgs) Handles Me.Loaded
		RichTextBoxShow()
		ImageShow()
		DataGridShow()
	End Sub

■RichTextBoxにXMLデータを表示する処理
XElement.LoadメソッドでXML文書ファイル(WilliamBlake.xml)を読み込みます。
読み込んだXML文書から<タイトル>要素の値を取得し変数titleに格納しておきます。<タイトル>要素の属性”著者”の値を取得し変数authorに格納しておきます。<内容>要素の値を取得し変数contentsに格納しておきます。
新しいParagraphのインスタンスmyParagraphオブジェクトを生成します。

テキストのビジュアル・プロパティを設定します。
●タイトルを設定します。
新しいRunのインスタンスtitleRun1オブジェクトを生成します。Runクラスは書式付き、または書式なしのテキストのセクションを表すクラスです。フォントサイズ、太字と文字色を指定し、Textプロパティに<タイトル>要素の内容(title変数内の値)を指定します。

●著者を設定します。
新しいRunのインスタンスauthorRun2オブジェクトを生成します。フォントサイズ、太字と文字色を指定し、Textプロパティに<著者>要素の内容(author変数内の値)を指定します。

表示されたタイトルと著者の下に改行を追加するには、改行を表すLineBreakクラスを使います。新しいLineBreakのインスタンスmyLinebreakオブジェクトを生成して、myParagraphオブジェクトに改行を追加します。

●内容の設定
新しいRunのインスタンスcontentsRun3オブジェクトを生成します。フォントサイズを指定し、Textプロパティに<内容>要素の内容(contents変数内の値)を指定します。

以上の生成と設定ができたところで、myParagraphオブジェクトにtitleRun1、authorRun2、contentsRun3オブジェクトを追加します。

最後に、titleRun1、authorRun2、contentsRun3の追加されたmyParagraphオブジェクトをRichTextBoxコントロール(WilliamBlake_RichTextBox)に追加します。

このままでは、RichTextBox内に表示されるデータは、データの末尾から表示されてしまいます。そこで、先頭から表示する処理を記述します。それには、RichTextBox内の位置を表すTextPointerクラスを使います。ContentStartプロパティでRichTextBox内の先頭位置を表すTextPointer を取得します。GetNextInsertionPositionメソッドで、指定された論理方向(LogicalDirection.Forward)の、次の挿入位置となるTextPointer を取得します。LogicalDirection.Forwardで、TextPointerがRichTextBoxの指定された位置の直後に配置されます。
このように取得した値を、Selectメソッドに指定します。SelectメソッドにはTextPointerオブジェクトの同じ値(startPointer)を指定しています。これで、TextPointerが先頭に移動し、データが先頭から表示されるようになります。
	Private Sub RichTextBoxShow()
		Dim xmldoc As XElement = XElement.Load("WilliamBlake.xml")
		Dim title As String = xmldoc.Descendants("タイトル").Value
		Dim author As String = xmldoc.Element("情報").Element("タイトル").Attribute("著者").Value
		Dim contents As String = xmldoc.Descendants("内容").Value

    Dim myParagraph As New Paragraph

		Dim titleRun1 As New Run
		With titleRun1
			.Text = title
			.FontSize = 20
			.FontWeight = FontWeights.Bold
			.Foreground = New SolidColorBrush(Colors.Red)
		End With

		Dim authorRun2 As New Run
		With authorRun2
			.Text = author
			.FontSize = 16
			.FontWeight = FontWeights.Bold
			.Foreground = New SolidColorBrush(Colors.Blue)
		End With

		Dim myLinebreak As New LineBreak
		myParagraph.Inlines.Add(myLinebreak) '改行

		Dim contentsRun3 As New Run
		With contentsRun3
			.Text = contents
			.FontSize = 11
		End With

		With myParagraph.Inlines
			.Add(titleRun1)
			.Add(authorRun2)
			.Add(contentsRun3)
		End With

		WilliamBlake_RichTextBox.Blocks.Add(myParagraph)

		Dim startPointer As TextPointer = WilliamBlake_RichTextBox.ContentStart.GetNextInsertionPosition(LogicalDirection.Forward)
		WilliamBlake_RichTextBox.Selection.Select(startPointer, startPointer)
End Sub

~DataGridとListBoxの処理についてはコード略~

VS2010メニューの「デバッグ(D)/デバッグ開始(S)」で動作を確認してください。MainPage.xamlには、TransitionEffectElementShow.xamlが取り込まれていますので、動作の確認は可能です。先に配置した画像を表示するListBoxや、DataGridは、透明化されていますので表示されません。動作が確認できれば、このRichTextBoxコントロールのOpacityプロパティにも0を指定して透明化しておきます。

四国のSOHO。薬師寺国安(VBプログラマ)と、薬師寺聖(デザイナ、エンジニア)によるコラボレーション・ユニット。1997年6月、Dynamic HTMLとDirectAnimationの普及を目的として結成。共同開発やユニット名義での執筆活動を行う。XMLおよび.NETに関する著書や連載多数。最新刊は「Silverlight実践プログラミング」両名とも、Microsoft MVP for Development Platforms - Client App Dev (Oct 2003-Sep 2012)。http://www.PROJECTKySS.NET/

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