ゲームのロジック作成

2011年5月13日(金)
北村 真二

サンプルプログラムの整理

今回からゲームのロジックの説明に入ろうと思う。まずは前々回までのサンプルコードのおさらいをしておこう。

まず、今回素材として解説している「Rabbit Maze」というゲームは筆者がApp Storeにて公開しているアクションパズルゲームだ。

そして、このゲームでは筆者が将棋のゲームを作るために作成した、以下の4つのクラスを元にしている。

  • GameBoardView(ゲーム盤のビュークラス)
  • GameBoardTile(マス目のクラス)
  • GameObjectView(駒のビュークラス)
  • GameController(ゲームのロジックを管理するクラス)

これらは、駒をマス目の上で移動させるボードゲーム用のクラスだ。今回は主にGameControllerクラスについて解説していく。

解説の前にサンプルコードの設計について触れるが、これらのボードゲーム用のクラスは「マス目の上で駒を移動させる」ための基礎クラスとして作った。なので本来はこれをスーパークラスとするサブクラスを作って、それを拡張するように作っていくのがObjective-Cの基本的なプログラミングの仕方だ。だが、サンプルコードを簡略化するためにサブクラス化せず、このクラスをそのまま更新していくことにする。

図1:うさぎとオオカミ配置(クリックで拡大)

GamePieceViewの拡張

それではプログラムの実装に戻ろう。前々回のサンプルではうさぎを配置して、タップした場所に移動するまでの実装を行った。今回はオオカミを配置して、オオカミがうさぎを追いかけるようにしてみよう。そのためのGamePieceViewとGameControllerに以下のコードを追加する。

うさぎもオオカミもGamePieceViewクラスで配置することになるので、区別するためinterfaceにtypeプロパティーを追加する。キャラクターのタイプを定義する定数も以下の用に定義する。

typedef enum{
		TYPE_RABBIT	=0,	//うさぎ
    TYPE_WLOF		=1,	//オオカミ
} PieceType;

@interface GamePieceView : UIView {
    ~ 略 ~
    PieceType		type;		//タイプ
}
    ~ 略 ~
@property (nonatomic, assign) PieceType			type;
@end

以下のプロトコル宣言も追加する。これはGamePieceViewのデリゲートであるGameControllerが実装し、うさぎのいる位置のGameBoardTileを返すためのデリゲートメソッドだ。

//プロトコル宣言
@protocol GamePieceViewDelegate
    ~ 略 ~
-(GameBoardTile*)gamePieceTargetMovTile:(GamePieceView*)piece;
@end

次にGamePieceViewの実装部の変更だ。GamePieceViewは一定時間ごとに処理を行うタイマーを設定してある。そのタイマーから呼ばれるメソッドで先ほどのデリゲートメソッドにて移動先のGameBoardTileをデリゲートオブジェクトに要求する。そして戻り値を移動先として設定する。

-(void) moveAction:(NSTimer*)timer {
    BOOL	update = NO;
    delay_mov += 1.0 / 60;
    //移動中
    if( isMoveing ){
    		~ 略 ~
    }
    //停止中
    else {
    		animeIndex = 0;
    		////////////////////////////////////////////////////
    		//オオカミの場合... 
    		if(type==PIECETYPE_WLOF) {
    				//デリゲートに移動先のタイルを要求する
    				if( [delegate respondsToSelector:@selector(gamePieceTargetMovTile:)] ){
    						GameBoardTile*    ret_tile = [delegate gamePieceTargetMovTile:self];
    						if( ret_tile ){
    								[self moveWith:ret_tile];
    						}
    				}
    		}
    		////////////////////////////////////////////////////
    }
    ~ 略 ~
}
  • 「ゲームのロジック作成」サンプルプログラム

STUDIO SHIN

家庭用ゲームの企画開発、Mac OS / iOSアプリの開発を主な生業とする。
20年ほど前から家庭用ゲーム開発に携わりファミコンからDS、PSP、Wiiまで幅広く開発。15年前からMac OS Xアプリケーションを開発「DotShotX」「GIFQuickMaker」などを公開。iPhoneアプリ「将棋盤」「DotTouch」「Rabbit Maze」などを開発。開発アプリはアップルのApp Storeで公開中。

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