SDNへの潮流とOpenFlowの歴史
1.5 OpenFlowプロトコル標準化の状況
1.5.1 これまでのOpenFlowプロトコルの仕様策定状況
OpenFlowプロトコルについて、これまでに策定されてきた内容について説明したいと思います。
OpenFlow ver1.0では、MACアドレス、802.1Dスパニングツリー、IPv4アドレス、VLANタグ、ARP等がサポートされています。キャンパスネットワークやデータセンター内のネットワークを意識させる内容になっています。
OpenFlow ver1.1では広域ネットワークを意識して機能が追加されていることが確認できます。データセンター内でなく、データセンター間の通信、キャリア網を意識した通信が標準化で扱うプロトコルの対象範囲になっています。また、スイッチ内部のベンダーの実装方式も考慮に入れた結果、複数テーブルへの対応も新しく追加されています。
OpenFlow ver1.2では、上記に加えてIPv6パケットへの対応が大きな変更点です。その他に今後(ver1.3以降)、新規でネットワークプロトコルを扱う際の柔軟性を高めるため、多くのパラメータ(現在未定義なものも含む)を利用してネットワークを制御できるよう拡張されています。合わせて実験や検証用途で利用するための拡張が定義されています。
1.5.2 今後のOpenFlowプロトコルの仕様策定予定
今後策定されるOpenFlowプロトコルの内容についてはONF内部で議論されているところです。今回はOpen Networking Summitで示された以下のロードマップ(2011年10月現在の実績および予定)およびONFのホームページ(参考:1.2 AND PENDING - Open Network Foundatioin)をもとに紹介したいと思います。
図4:Open Networking Summitで示されたOpenFlowのロードマップ |
まず、Basic configurationです。これは、OpenFlowスイッチを動作させるにあたって、機器のセットアップ時に必要となるコンフィグレーションに関するものです。ONF内部での議論において、この部分についてはOpenFlowプロトコルとは異なるプロトコルという位置づけになっています。そのため、OF-Configプロトコルとして規定され、バージョンについても2012年1月付で新たにver1.0として規定されることになります(OF-Config 1.0という表記になります)。
次に、Testに関する標準化です。OpenFlowに対応した装置の認定を行うためのテストケースの検討および認定試験を行うための施設とのパートナーシップの検討が行われています。また、相互接続性を確認するためのイベントが2012年3月に行われる予定です。
(参考:WORKING GROUPS - Open Network Foundation)
その他、OpenFlowコントローラやスイッチのトポロジー情報をどのように把握するか、OpenFlow対応デバイスの能力の把握をどのように行うかという観点での標準化が予定されています。
1.6 今後の連載内容について
今回は、SDNに集められる期待、OpenFlowにかかわる最新動向について、技術的な詳細というよりむしろ包括的な話を中心に紹介しました。
第2回は「OpenFlowのアーキテクチャと仕様・機能」と題し、OpenFlowプロトコルで規定されている仕様の詳細について解説します。現在、商用として用いられているOpenFlowスイッチが対応しているのはOpenFlowプロトコルver1.0ですので、それをベースに取り上げます。
第3回は「OpenFlowの使い方(例)と活用事例」と題し、OpenFlowを活用することでどのようなネットワークが実現できるのか、アーキテクチャとしてどのようなものが考えられるかを紹介します。さらに、ネットワーク層だけでなくその上位に位置するアプリケーション層まで含めてどういったソリューションができるのか述べます。
最終回となる第4回は「OpenFlow ver1.1以降の追加機能と活用例」と題し、ver1.1以降で規定されているプロトコル仕様の解説、その活用例について紹介します。
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