日本の小中高生は世界に勝てますか?ロボットプログラミングを競うWROとは

2012年7月6日(金)
Think IT編集部

はじめに

ITに関わるエンジニアや、Think ITで記事を執筆している方の年齢が最近は上がりつつあるが、それにつれて、子どものいる家庭が増えてきたように思う。筆者(編集部)にも就園前の子どもがいるが、周りには小学生や中学生の子どもを持つ方も多い。

そんな親である皆さんは、自分の仕事内容を子どもに伝えたり、プログラミングについて子どもに説明したりすることも時にあるのではないだろうか。折しも今年度(H24年度)からは、中学校の技術・家庭科に「プログラムによる計測・制御」が必修科目となっている。
→参照:中学校学習指導要領解説 技術・家庭編(文部科学省/PDF)

今回は、WROというロボットの世界大会を取り上げ、小学生から高校生までどんな内容で競技を戦うのか紹介していきたい。プログラムと教育について、少しでも親子で考える機会になれば幸いだ。

WROとは

WROとは、World Robot Olympiad(ワールド・ロボット・オリンピアード)の略で、世界の小中高生が参加する国際ロボット競技会だ。2004年からスタートして、今回で9回目を迎える。

大会はオリンピックを模した形となっており、国内予選、国内決勝を経て、勝ち残ったチームが国際大会を戦う。開催地はアジアを中心に各地で行われ、最初の国際大会はシンガポールで開催された。昨年は初の中東エリアとなるアブダビが選ばれ、9回目となる今回は、マレーシアのクアラルンプールで11月に国際大会が開催される。

 図1:アブダビで行われた国際大会の様子

ロボットを競技コートに放つ

ロボットに手をかざすと、センサーが反応してロボットのモーターが動き出す。カラーセンサーで黒いラインを見つけ、障害物を乗り越えながらライン沿に進み、アームを使って器用にブロックをつかむ。帰り道のラインを探したら、再び障害物をクリアしながらスタート地点に戻り、持ってきたブロックを丁寧に置く。

こうした一連の動作をあらかじめプログラミングしておき、自律型ロボットの正確な動きやスピードでポイントを競うのが、小学生から高校生までが参加する、WROの主な内容だ。

 図2:コート上のロボット(写真は小学生部門のもの)

コート上の正確な動作を競う「レギュラーカテゴリー」

大会には、あらかじめ決められた機材を使って組み上げたレゴ・マインドストームを使うレギュラーカテゴリーと、自由な発想でロボットを作り上げ、プレゼンテーションするオープンカテゴリー、2つの部門がある。

レギュラーカテゴリーでは、小学生の部、中学生の部、高校生の部に分かれ、それぞれ難易度の異なるノルマをこなす。ノルマには指定の場所にピンポン球を置く、色別にブロックを仕分ける、などに加え、当日発表されるサプライズルールがある。

年齢別の部門について、以下で説明する。

小学生の部「ボールキャリーロボ」

スタートエリアを出発したロボットが、指定されたエリアにピンポン球をおきながら、フィニッシュエリアをめざす競技。競技会当日,サプライズルールが発表される。

 図3:小学生の部、競技コート

中学生の部「トレジャーキャリーロボ」

BASE AREAをスタートしたロボットが、ラインをトレースして、ZONE Cにある円柱を持ち帰り、それぞれ指定された場所に正確に置くことをめざす競技。競技会当日、サプライズルールが発表される。

 図4:中学生の部、競技コート

高校生の部「カラーキャリーロボ」

運搬物体の色を認識し、指定された色ポールに運搬物体はめ込む作業の正確さと速さを競う合う知能ロボット競技。君らのロボットはどこまで正確に運搬物体を仕分けることが可能だろうか? 大会当日サプライズルールが発表される。

 図5:高校生の部、競技コート

(*)各部門の内容はWROの資料より抜粋して紹介

ちなみに、昨年は文科省の支援で国際大会出場チームの強化ワークショップを開催し、レギュラーカテゴリーの高校生部門では見事金メダルを受賞した。

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2004年の開設当初からOSS(オープンソースソフトウェア)に着目、近年は特にクラウドを取り巻く技術動向に注力し、ビジネスシーンでOSSを有効活用するための情報発信を続けています。クラウドネイティブ技術に特化したビジネスセミナー「CloudNative Days」や、Think ITと読者、著者の3者をつなぐコミュニティづくりのための勉強会「Think IT+α勉強会」、Web連載記事の書籍化など、Webサイトにとどまらない統合的なメディア展開に挑戦しています。

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