Kinectで距離カメラの値を取得して、指定した距離で人物が背景に溶け込むサンプル
※前ページからの続きです。
背景をマスクしプレイヤーだけが表示され、距離データが表示される処理
RGBカメラの1ラインあたりのバイト数を表すmyColorStride変数に、colorFrame.BytesPerPixel *colorFrame.Width と指定します。RGBカメラの1ピクセルあたりのバイト数を取得して、RGBカメラのフレームの幅に乗算します。RGBカメラの1ラインあたりのバイト数が取得できます。
32ビットを1バイト(8ビット)で除算すると4バイトとなり、それにcolorFrame.Widthの640を乗算します。4×640=2560となります。
直接この値を指定しても問題はありません。
また、Kinectセンサーの距離カメラのストリームフレーム幅と、RGBカメラのピクセルあたりのバイト数を取得するBytesPerPixelを乗算して、取得した距離カメラの1ラインあたりのストリームバイト数を変数myScreenImageStrideに格納しておきます。
これも640×4=2560となり、直接この値を指定しても問題ありません。次に、
- Byte型の配列変数bytePlayer変数を距離カメラのフレームの高さ
- Kinectセンサーの距離カメラのストリームフレーム幅
- RGBカメラのピクセルあたりのバイト数を取得するBytesPerPixel
上記3つを乗算して取得した、距離カメラ1ラインあたりのストリームバイト数を保持しているmyScreenImageStrideで乗算した値で初期化します。
つまり、depthFrame.Heightの640に、myScreenImageStrideに設定した、DepthStream.FrameWidth*colorFrame.BytePerPixel(640×4バイト)の値である2560を乗算した、(640×2560)1638400-1の値で初期化されたバイト配列型のbytePlayerオブジェクトが作成されます。
CopyPixelDataToメソッドで、距離カメラのピクセルごとのデータを取得します。同様にRGBカメラのピクセルごとのデータも取得します。これで、実際のデータを取り出します。
繰り返し変数depthFrameDataで、0から距離カメラのフレームの高さ分反復処理を行います。反復処理内では以下の処理を行います。
myDepthPixelIndex変数に1ずつ加算される変数depthDataの値と、繰り返し変数depthFrameDataに距離カメラのフレーム幅(640)を乗算した値を加算して、格納しておきます。
Short型の配列で、myDepthPixelIndex変数に対応する値と、距離カメラのフレームデータから、PlayerIndexBitmaskでビットマスクに含まれているプレイヤーIDとで論理積演算を行います。
距離カメラのピクセルデータを反復処理し、プレイヤーのインデックス値を抽出します。
ビット演算 AND は、2 つのビットを比較し、両方のビットの値が 1 の場合にのみ、値 1 を結果に代入します。そうでない場合は、結果のビットに 0 をセットします。
AND 演算子は、その他すべてのビット演算子と同様、オペランドとして数値のみを取ります。And演算子に付いては下記のURLを参照してください。
→ And 演算子(msdn)
また、myPlayerIndex = myDepthPixelData(myDepthPixelIndex) And DepthImageFrame.PlayerIndexBitmaskでmyPlayerIndexに入る演算結果については、図2を参照してください。
RGBカメラのX-Y座標データを表すColorImagePointクラスのmyColorPointを宣言し、MapDepthToColorImagePointで、距離カメラの座標に対応する、RGBカメラの座標を取得します。
すると、深度情報を実画像に変換してくれます。書式は下記の通りです。
KinectSensor. MapDepthToColorImagePoint(距離カメラの フォーマット,距離カメラのX 座標,XとY座標の距離データ(Short型),RGBカメラのフォーマット)
変数myColorPixelIndexに、RGBカメラのX座標とRGBカメラのピクセルあたりのバイト数を取得して乗算し、RGBカメラのY座標とRGBカメラの1ラインあたりのバイト数を表すmyColorStrideを乗算して、これらを加算した値を格納しておきます。
プレイヤーが存在し、プレイヤーの深度データが必要な場合は、以下のように記述します。
playerDepth = myDepthPixelData(myDepthPixelIndex) >> DepthImageFrame.PlayerIndexBitmaskWidth
そして、myDepthPixelData(myDepthPixelIndex) をDepthImageFrame.PlayerIndexBitmaskWidth 分右へシフトします。
つまり、3ビット(DepthImageFrame.PlayerIndexBitmaskWidth分)右へシフトすると、プレイヤーの深度のデータだけを取得できるということです。深度のデータが2000(2m)より小さい場合は、プレイヤーを抽出します。
上記は、ビットシフト演算を使用しています。ビットシフトはその名の通り、ビット列をそのまま左右に移動させる演算です。
- expression1 >> expression2
- expression1
>> は expression1 を expression2 だけ右にシフトします
expression1 と expression2 には、それぞれ式を指定します。
ビットごとの右シフト演算子 (>>)やビットごとの左シフト演算子 (>>)については、下記のURLを参照してください。
→ ビットごとの右シフト演算子 (>>)
→ ビットごとの左シフト演算子 (
myColorPixelIndexに対応する、Byte型の配列変数であるRGBカメラの画像に、青、緑、赤、Alphaを指定していきます。32ビット(4バイト)分確保された配列で、最後の余った8ビット(1バイト)をAlphaチャネルに使用しています。
bytePlayer(myImageIndex + 3) = &HFFと指定しAlphaチャネルを指定することで背景が透明化されます。
変数depthDataを1ずつ加算し、myImageIndex変数にRGBカメラのピクセルあたりのバイト数を加算していきます。
myImageIndex = myImageIndex + colorFrame.BytesPerPixel は
myImageIndex = myImageIndex + 4 としても同じです。
BytesPerPixelは1ピクセルあたりのバイト数を取得しますので、1ピクセルは8ビットでフルカラーの場合は32ビットになるため、32÷8=4バイトとなり、colorFrame.BytesPerPixelは4と同じになります。
この値が、Byte型の配列変数のインデックスに対応します。下位3ビットのプレイヤーIDを指し示す値です。
WriteableBitmap型の変数PersonにWritePixelsメソッドで、ビットマップの指定した領域内に更新したデータを格納します。書式は下記の通りです。
WritePixels(更新するWriteableBitmapの四角形,ビットマップの更新に使用するピクセル配列,pixel内の更新領域のストライド,入力バッファのオフセット)
この値を戻り値としているPersonプロパティの値を、ImageコントロールのSourceプロパティにバインドします。
TextBlock内に深度データ(playerDepthの値)を表示します。
Private Sub AppearPLayer(colorFrame As ColorImageFrame, depthFrame As DepthImageFrame) If kinect Is Nothing = True OrElse depthFrame Is Nothing = True OrElse colorFrame Is Nothing = True Then Return End If Dim playerDepth As Integer = 0 Dim myDepthPixelIndex As Integer = 0 Dim myPlayerIndex As Integer = 0 Dim myColorPixelIndex As Integer = 0 Dim myColorStride As Integer = colorFrame.BytesPerPixel * colorFrame.Width Dim myScreenImageStride As Integer = kinect.DepthStream.FrameWidth * colorFrame.BytesPerPixel Dim myImageIndex As Integer = 0 Dim bytePlayer As Byte() = New Byte(depthFrame.Height * myScreenImageStride - 1) {} depthFrame.CopyPixelDataTo(myDepthPixelData) colorFrame.CopyPixelDataTo(myColorPixelData) For depthFrameData As Integer = 0 To depthFrame.Height - 1 Dim depthData As Integer = 0 While depthData < depthFrame.Width myDepthPixelIndex = depthData + (depthFrameData * depthFrame.Width) myPlayerIndex = myDepthPixelData(myDepthPixelIndex) And DepthImageFrame.PlayerIndexBitmask Dim myColorPoint As ColorImagePoint = kinect.MapDepthToColorImagePoint(depthFrame.Format, depthData, depthFrameData, myDepthPixelData(myDepthPixelIndex), colorFrame.Format) myColorPixelIndex = (myColorPoint.X * colorFrame.BytesPerPixel) + (myColorPoint.Y * myColorStride) If myPlayerIndex <> 0 Then playerDepth = myDepthPixelData(myDepthPixelIndex) >> DepthImageFrame.PlayerIndexBitmaskWidth If playerDepth < maxDepthValue Then bytePlayer(myImageIndex) = myColorPixelData(myColorPixelIndex) bytePlayer(myImageIndex + 1) = myColorPixelData(myColorPixelIndex + 1) bytePlayer(myImageIndex + 2) = myColorPixelData(myColorPixelIndex + 2) bytePlayer(myImageIndex + 3) = &HFF End If End If depthData = depthData + 1 myImageIndex = myImageIndex + colorFrame.BytesPerPixel End While Next Person.WritePixels(myImageRect, bytePlayer, myScreenImageStride, 0) TextBlock1.Text = String.Format("深度={0}", playerDepth) End Sub
ウィンドウが閉じられた時の処理
Kinectセンサーが動作している場合は、Kinectの動作を停止し、リソースを開放します。
Private Sub MainWindow_Closing(sender As Object, e As System.ComponentModel.CancelEventArgs) Handles Me.Closing If kinect Is Nothing = False Then If kinect.IsRunning = True Then kinect.Stop() kinect.Dispose() End If End If End Sub End Class
いかがでしたか。距離に応じて、自分の姿が消えたり現れたり出来れば今回のサンプルは成功です。
それでは、次回もお楽しみに。
Kinectで距離カメラの値を取得して、距離に応じて姿を隠すサンプル
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