イントロダクションRaspberry Pi ―仕様説明からセットアップまで 後編
Mac OS X でのフラッシュ
現在使用している PC が Mac OS X を実行している Macintosh の場合、作業は Linux の場合と同じように簡単だ。Mac OS X と Linux は、元をたどれば似たような祖先を持つため、どちらにも ddユーティリティが含まれている。
- [ターミナル]アプリケーションを起動する。
- Macintosh に接続されたメモリカードリーダーに空の SD メモリカードを挿入する。
- 以下のコマンドを実行し、ディスクの内容を一覧表示する。サイズを手がかりにSDメモリカードを探し出し、そのデバイスアドレスを書き留める。SD メモリカードのデバイスアドレスは /dev/diskXで、Xはストレージデバイスを識別する文字である。
diskutil list
- SD メモリカードが自動的にマウントされ、デスクトップに表示されている場合は、作業を開 始する前に以下のコマンドを入力して、マウントを解除しておく。
diskutil unmountdisk /dev/diskX
- Zip アーカイブから取り出した img ファイルが含まれているディレクトリに cd を使って移動する。
- 以下のコマンドを入力して、手順 3 のデバイスアドレスに接続されている SD メモリカードに .img ファイルを書き込む。.img は Zip アーカイブから取り出したファイルの実際の名前に置き換えること。
sudo dd if=<イメージファイル名>.img of=/dev/diskX bs=1m
この操作には少し時間がかかるため、気長に待とう(図 1-5)。
図 1-5:dd コマンドを使って SD メモリカードをフラッシュする
Windows でのフラッシュ
現在使用している PC で Windows を実行している場合、Windows には ddのようなユーティリティはないため、SD メモリカードにイメージファイルをフラッシュするにはサードパーティのソフトウェアが必要である。Windows 互換の ddコマンドをインストールするという手もあるが、Image Writer for Windowsというもっと簡単な方法がある。Image Writer for Windowsは、Linuxディストリビューションの USB/SD メモリカードイメージを作成するためのユーティリティであり、Raspberry Pi のSD メモリカードを簡単に作成できるシンプルな GUI を備えている。
Image Writer for Windows の最新バージョンは、公式 Web サイトからダウンロードできる。以下の手順に従って、Image Writer for Windows をダウンロードしてインストールし、それを使ってRaspberry Pi の SD メモリカードを準備する。
- Image Writer for Windows のバイナリの Zip ファイルをダウンロードし、PC 上のフォルダに展開する。ソースコードの Zip ではなくバイナリ Zip をダウンロードすることに注意しよう。
- PC に接続されているメモリカードリーダーに空の SD メモリカードを挿入する。
- Win32DiskImager.exe ファイルをダブルクリックしてインストールプログラムを実行し、青いフォルダアイコンをクリックしてファイル選択ダイアログボックスを開く。
- ディストリビューションのイメージファイルである .imgを選択し、[保存]ボタンをクリックする。.imgはZipアーカイブから取り出したファイルの実際の名前に置き換えること。
- [Device]ドロップダウンリストから SD メモリカードに対応するドライブ文字を選択する。どのドライブ文字を選んでよいかわからない場合は、[マイコンピュータ]またはエクスプローラを開いて確認すること。
- [Write]ボタンをクリックしてイメージファイルを SD メモリカードにフラッシュする。この処理には少し時間がかかる。
どの OS からフラッシュする場合でも、イメージの書き込みが完了するまで、SD メモリカードを接続したままにしておくことが重要である。そうしないと、SD メモリカードを接続しても Raspberry Pi がブートしないことがある。そのような場合は、フラッシュ作業を最初からやり直す必要がある。 SD メモリカードにイメージがフラッシュされたら、PC から取り出して、Raspberry Pi のボードの下に付いている SD メモリカードスロットに差し込む。SD メモリカードのラベルがボードと逆向きになるように差し込み、完全に奥まで押してきちんと接続されるようにする。 |
外付けストレージの接続
Raspberry Pi は SD メモリカードをメインストレージデバイスとして使用する。このようなデバイスはブートデバイスと呼ばれている。SD メモリカードをブートデバイスとして使用すると、すぐに容量を使い果たしてしまうかもしれない。32GB や 64GB などの大きな容量を持つ SD メモリカードも販売されているが、容量が増加するほどに割高になっていく。
ありがたいことに、USB ケーブルでコンピュータに接続すると、追加のストレージとして使用できるデバイスがある。これらのデバイスは UMS(USB Mass Storage)と呼ばれており、HDD、SSD、またはポケットサイズの USB メモリとして提供されている(図 1-6)。
UMS デバイスの大半は、コンテンツが含まれているかどうかに関係なく、Raspberry Pi で読み取ることができる。Raspberry Pi からこれらのデバイスにアクセスするためには、それらがマウントされている必要がある。マウントについては第 2 章で説明することにして、さしあたり、ドライブをRaspberry Pi に接続すれば、準備は完了だ。
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