コマツ教習所株式会社のUX採用事例 〜操作性の向上と業務のシステム化範囲の拡大〜

2013年9月5日(木)
田中 俊明

連載コラムの第5回はUX採用事例として、コマツ教習所株式会社の講習管理システムの改修プロジェクトをご紹介します。

このコラムでは「課題となっていた旧システムのコンプライアンス・セキュリティ機能の改善」と「優れたユーザーインタフェースによる操作性の向上と業務のシステム化範囲の拡大」についてご紹介します。

本プロジェクトの概要

1983年に創立されたコマツ教習所株式会社(以下、コマツ教習所)は、株式会社小松製作所のグループ企業の一つで、労働安全衛生法に基づく技能講習・特別教育・安全衛生教育の実施、クレーンや高所作業車などの実技教育といった事業を展開する企業です。北海道から九州に至る全国16か所の教習センターには、建設機械や特殊車両などの資格の技能講習を学ぶため、年間およそ10万人が受講しています。

同社では業務の中核を支えている講習管理システムのリプレースを計画し、ビジネスUXソリューション「XPLATFORM」を採用し、業務効率の改善に取り組みました。

コマツ教習所について

本社所在地:神奈川県横浜市港北区新横浜3-2-6 新横浜ビジネスセンタービル6階
事業内容:労働安全衛生法に基づく技能講習、特別教育、安全衛生教育の実施、クレーン等免許に係る実技教習など
設立:1983年7月1日
代表者:代表取締役社長 長谷津克哉
従業員数:123名(2012年4月現在)
URL :http://www.komatsu-kyoshujo.co.jp

導入前の課題

コマツ教習所では、基幹システムである講習管理システムで、講習管理・顧客管理・会計管理まで広範な情報を管理しています。講習管理では、日程・定員・講習開催実績、顧客管理では、受講予約・受講実績・修了の有無、さらに会計管理では売上計画から入金まで、実に多くの役割を担っているのです。ところが、これまで使用していた講習管理システムは、日々の業務遂行に支障を来さないまでも、セキュリティや法律に対応するための機能が不足するという問題が生じていました。

コマツ教習所が実施する技能講習や特別教育、安全衛生教育、実技教習は、法令によって受講者の資格はもちろん、講師の資格要件なども細かく規定されているため、単に講習を実施するだけではなく、企業コンプライアンスの側面からの人的管理が必要となります。しかし、これらの機能を既存システムに実装することが難しく、加えて、個人認証やアクセス制御などのセキュリティの点でも不満が出ていました。

また既存システムは、自動車教習所向けのパッケージをコマツ教習所用にカスタマイズしたため、運用上の制約が多い上、仕様変更に多大な工数やコストがかかることがわかりました。講習管理システムを新しく構築するという抜本的な対応が急務となっていたのです。

導入に際して求められた要件

従来の講習管理システムは、サーバサイド型アプリケーション仮想化製品の上に構築されたクライアント・サーバ・システムで、クライアントの台数増加に伴いライセンス料が発生。システム修正の費用やメンテナンスコストの低減と運用効率向上も含め、クライアントの条件に依存しないWeb系のシステムが望まれていました。

システムの再構築で、具体的な狙いは以下の2点です。

  1. 操作性の向上
  2. 新機能による業務のシステム化範囲の拡大

操作性の向上に関しては、全国の教習センターでシステムを操作するスタッフだけでなく、各教習センターの講師が扱うことも考慮されました。また旧システムは、業務に要求される機能は備わっていてもExcelの関数やデータベースの操作に熟知していないと使いにくいものでした。このため、ユーザー・エクスペリエンスを意識して、優れたユーザーインタフェース(UI)の構築による操作性の向上が大きな狙いとなりました。

新機能に関しては、主にコンプライアンスとセキュリティを強化する観点からさまざまな機能を追加。特に業務の円滑な遂行に大きく関わるコンプライアンスは、監督官庁による監査時への対応も含めて、法令にのっとっていることを迅速に確認できることが重要な必須要件となりました。これは、例えば講習実績の承認プロセスにおいて、その実績が法令で定められた時間を満たしているかをチェックする機能などが挙げられます。

システム選定

選定に際しては、3社からの提案が検討された結果、「XPLATFORM」で講習管理システムを再構築するという日立ソリューションズの提案が採用されました。「XPLATFORM」に用いられた新しい技術に対する期待が大きかったことや、コスト面での優位性が評価されたこと、そして数多くの導入実績があったことが採用の決め手となりました。

今回のプロジェクトでは当初よりWebシステムの導入を考えていましたが、その理由は、同社の教習センターの中に回線が細い拠点があり、トラフィックの集中に弱いクライアント・サーバ・システムの欠点を懸念したからです。その一方で、旧システムに比べ、レスポンス性能の低下が気がかりだったといいます。

また、ビジネスUXソリューションである「XPLATFORM」は、ほかのWebシステムと比較した場合、表現力や操作性以外にも、クライアント側の処理を専用エンジンで行うため、処理速度が速いという性能的メリットがあります。

株式会社 日立ソリューションズ

営業統括本部 プロダクトソリューション第2営業本部 第3部 主任

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