Facebookのデータセンターやビジネス活用の進むOSSなどを紹介 - オープンソースカンファレンス2013 Hokkaido -

2013年9月29日(日)
Think IT編集部

オープンソース「超」入門

オープンソースビジネス推進協議会(OBCI)の会員で、株式会社 日立ソリューションズに所属する岡本 雅幸氏より、ビジネス活用という視点でOSSが持たれているイメージや、現場で実際にどんなOSSが使われているのか、どのジャンルが増加傾向にあるのか、といった内容が紹介されました。

はじめに、品質が低い、導入コストが高い、使えるエンジニアがいないのでは?といった、一部の企業がOSSに対して持っているイメージに対し、実際にはそれらが誤解であることが説明されました。OSS製品にも商用製品より品質の高いソフトがあり、有償サポートを活用すればリスクを回避しつつコストを下げられる、商用製品を扱うエンジニアはオープンソースも簡単に扱えるといった内容です。

続けて、ビジネスの現場でどんなOSSが導入されているのか、2012年度にThe Linux Foundationが実施したアンケート結果が紹介されました。アンケートを行った企業は、NTTデータ、NECソフト、日本ヒューレット・パッカードなど、OSSと馴染みの深い大手企業8社が対象です。

それによると、上記の内、3社以上が導入実績のあるツールは114、さらに、5社以上が導入実績のある定番化したOSSは41ツールに上るとのこと。このことからも、ビジネスの現場で多くのOSSが活用されていることが分かります。
また傾向としては、仮想化・クラウド関連ジャンルの普及が顕著であること、データベース関連ではinfiniDBやMongoDBなどの導入事例が出てきてOSSデータベースの活用オプションが拡大していることが合わせて紹介されました。Hadoopなどビッグデータ関連のOSSも増加が認められるようです。

続けて、細かく分類された表を使って、それらのOSSがどんなジャンルに当てはまるのか、また、使われることの多い代表的なOSSが紹介されました。

知らなきゃ損!今話題の自動構築フレームワークChef!

Chefとは、システムの自動構築を行うOSSのフレームワークです。株式会社 日立ソリューションズの喜納 健氏より、このChefの概要や導入効果、具体的な使い方について紹介されました。

近年、オープンスタックなど大量のマシンを使った大規模なクラウド基盤が注目を集めていますが、喜納氏はこういったクラウドの構築を行う際に想定される作業として、同じような設定を沢山のマシンに行う単調な作業の繰り返しや、パッケージをインストールする際の待ち時間などが発生することを挙げました。

こういった単純作業は、作業者にモチベーションの低下につながり、同時に設定ミスをもたらします。大量のマシンの内、1台でもミスが発生すると、大規模環境は動かなくなってしまう上、どこで問題が発生しているのかといった障害の切り分けが必要になり、作業にも膨大な工数が必要になってしまうことが問題です。

こういった問題を回避するためにも作業の自動化が必要なことから、喜納氏は最近開発が活発なツールとしてた。SNSやソーシャルゲームといったサービスを提供するユーザー企業が多く、またそれらの企業にSaaS環境を提供するクラウドベンダーにも多く使われてるChefを紹介しました。最近ではFacebookが採用していることも知られています。

Chefの重要なコンセプトは「システムをコードで管理する」ことで、これまでのような構築手順書やパラメータ設定書で行ってきた作業をコードに落とし込むことでシステムの管理を実現します。コードの重複を防ぎ、シンプルなシステム構築を行うことで、環境構築、設定変更の自動化を可能にし、構築コストの削減、オペレーションの可視化によるセキュリティ・コンプライアンスにも対応することが導入効果として考えられます。

セッションでは、“レシピ”と呼ばれるファイルを使ってシステムの状態を管理する手順やWebサーバーの構築例、実際のレシピ記載例などが紹介されました。

この他、OSC北海道のページでも閲覧可能な資料が紹介されています。
→ https://www.ospn.jp/osc2013-do/

“オープンソース技術の実践活用メディア” をスローガンに、インプレスグループが運営するエンジニアのための技術解説サイト。開発の現場で役立つノウハウ記事を毎日公開しています。

2004年の開設当初からOSS(オープンソースソフトウェア)に着目、近年は特にクラウドを取り巻く技術動向に注力し、ビジネスシーンでOSSを有効活用するための情報発信を続けています。クラウドネイティブ技術に特化したビジネスセミナー「CloudNative Days」や、Think ITと読者、著者の3者をつなぐコミュニティづくりのための勉強会「Think IT+α勉強会」、Web連載記事の書籍化など、Webサイトにとどまらない統合的なメディア展開に挑戦しています。

また、エンジニアの独立・起業、移住など多様化する「働き方」「学び方」「生き方」や「ITで社会課題を解決する」等をテーマに、世の中のさまざまな取り組みにも注目し、解説記事や取材記事も積極的に公開しています。

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