DBドキュメント出力とMEBのためのGUI、次期版6.1の新機能を紹介
今後のMySQL Workbench/Utilities
今回の特集(全4回)では主にMySQL Workbench 6.0とMySQL Utilities 1.3について説明させていただきましたが、開発はそれぞれ継続しており多くの機能改善・バグ修正が継続して行われています。また、次期版(MySQL Workbench 6.1とMySQL Utilities 1.4)の開発も進み、つい先日(2014-04-01)には、それぞれMySQL Workbench 6.1.4 GA, MySQLUtilities 1.4.2 (including MySQL Fabric) RCがリリースされました。
Workbench 6.1 GA
MySQL Workbench 6.1ではよりビジュアルに開発や運用に役立つ機能を搭載しています。パフォーマンスに関するものについては、Navigatorパネルに「Performance」という項目が追加され、そこからアクセスする形になっています。
パフォーマンスダッシュボードは、MySQLサーバやInnoDBの状態をグラフィカルに表示するもので、より直感的に現在のMySQLサーバの状態を把握するために提供されます。各グラフをマウスオーバーすると、より詳細な情報が出力されます。図5.では"Table Open Cache"グラフにマウスオーバーすることにより詳細情報(Table Open Cacheの意味と、ヒット数、ミス数)が表示されています。
パフォーマンスリポートはパフォーマンススキーマ確認用に提供されているインターフェースで、パフォーマンススキーマ(P_S)はMySQL 5.5から搭載された新機能です。MySQL 5.6からはよりオーバーヘッドを減らして、デフォルト設定でオンになりました。ランタイムの情報を非常に低レベル・詳細に取得しますが、その分利用するテーブル・カラムも多く閲覧するためのクエリも複雑になりがちです。パフォーマンスレポートはそのような情報により簡単にアクセスするために提供されており、以下の五つのカテゴリからさらに詳細な項目を確認していくことができます。
- Hot Spots for I/O:I/Oのホットスポット
- Hight Cost SQL Statement:コストの高いSQLステートメント
- Database Schema Statistics:データベーススキーマ統計
- Wait Event Times(Expert):イベント待ち時間(エキスパート用)
- InnoDB Statistics:InnoDB統計
パフォーマンススキーマはMySQLサーバ本体の機能です。詳細については次のマニュアルをご参照ください。
> MySQL 5.6 Reference Manual:Chapter 21 MySQL Performance Schema
Workbench 6.1ではパフォーマンススキーマをより簡単に扱うためにmysql-sysという一連のビュー、ファンクション、プロシジャのセットを利用しています(残念ながら現状mysql-sysはMySQL 5.6以降にしか対応していないためパフォーマンスレポートは接続先がMySQL 5.6以降でないと動作しません)。これを直接利用することによりコマンドラインからでも比較的簡単なクエリでランタイムの情報・状態を把握できます。詳細については以下のURLをご参照ください。
> MySQL sys schema / ps_helper
MySQL Utilities 1.4.2(including MySQL Fabric)RC
MySQL Utilities 1.4.2にはMySQL Fabricが含まれました。MySQL Fabric(mysqlfabric)はシャーディング(データ分割)による拡張性の向上と高可用性を提供します。Fabricが分割キーと構成を管理して、Connectorはその情報をキャッシュ、キーに応じて該当キーを持つMySQLを選択する形で動作します。
詳細については次のマニュアルをご参照ください。
全体の動作イメージなどをつかむにはFabric開発者のブログが参考になると思います。
> VN
現在対応しているConnectorはConnector/JとPythonで、同時期にリリースされた以下のバージョン以降を利用する必要があります。
- MySQL Connector/J 5.1.30
- MySQL Connector/Python 1.2.1 RC
なお、MySQL Utilities 1.4.2(including MySQL Fabric)とMySQL Connector/Python 1.2.1はRC(リリース候補)版ですので、試用・評価にとどめ実環境への適用はGAリリースまでお待ちください。
さて、長らくおつきあいいただいたMySQL Workbenchの連載も今回が最終回になります。なにか興味のある機能はありましたでしょうか?
いきなり「すべての機能を使おう」と考えると敷居も高くなってしまうので、まずは興味を持った機能を使ってみる、そのためにまずはインストールする、という気軽なスタンスで臨んでみてはいかがでしょうか? 結構便利なMySQL Workbench/Utilitiesを是非インストールして使ってみてください。
【参考文献】
- 木村明治『プロになるためのデータベース技術入門 MySQL for Windows 困ったときに役立つ開発・運用ガイド』技術評論社(発行年:2012)
- Ronald Bradford『Effective MySQL: Backup and Recovery』Oracle Press(発行年:2012)
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