OpenStack Juno on SoftLayer by RDO

2014年12月25日(木)
熊谷育朗鈴木智明

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OpenStackをご存知ですか?OpenStackはオープンソースのクラウドOSとして2010年に開発の始まったオープンソースプロジェクトです。OpenStackの開発にはHP、Redhat、IBM、Ciscoなどといった企業が名を連ねており、これだけを見ても注目度の高さが伺えます。リリースは半年毎に行われており、最新版は2014年10月にリリースされたJunoとなっています。今回はRedhat系OSを使用してOpenStackをインストールするためのRPMパッケージ群RDOを使用してSoftLayer上にOpenStack環境を構築していきます。

構成

物理構成

サーバー ベアメタル(Xeon 1270 4 Cores メモリ 8GB) サーバ × 2台
グローバルIP Portable Public IP 16個
物理構成

図1:物理構成

論理構成

  • コントローラー兼ネットワークノード
    OpenStack全体の操作を行うコンポーネント群と、外部からの通信を仮想マシンへルーティングするノードです。
  • コンピュートノード
    仮想マシンを配置、実行するノードです。
論理構成

図2:論理構成

SoftLayerでのOrder

  1. ベアメタル2台のOrder
    OSはCentOS 6.x(64bit)を選択します。
    ※執筆段階ではCentOS7がSoftLayer上で選択できなかったため、CentOS6から7へアップグレードを実施しております。アップグレードには若干コツが必要なので最後に紹介するビットアイル総合研究所ブログに掲載いたします。
  2. Portable Public IPのOrder
    SoftLayerのダッシュボードから「Network->IP Management->Subnets」の画面を開き「Order IP Addresses」をクリック、「Portable Public」を選択し、16個のIPアドレスをOrderします。
    PortableIP Order画面

    図3:PortableIP Order画面

    RDOのインストール

    インストールはPackStackというPuppetをベースとして作られたデプロイツールを利用して行います。基本的な手順は下記URLの公式インストール手順に従っています。

    https://openstack.redhat.com/Quickstart

    操作は全てコントローラノードのプライベートIPから行います。予めVPN接続し、プライベートIPアドレスでSSH接続を行ってください。

    1. インストール準備

    (1)RDOリポジトリのインストール
    # yum install -y https://rdo.fedorapeople.org/rdo-release.rpm
    (2)Packstackのインストール
    # yum install -y openstack-packstack
    (3)answerファイルの作成
    # packstack --gen-answer-file=answers
    (4)viを起動
    # vi answers
    

    2. インストールパラメータの変更

    PackstackによるOpenStackインストールのパラメータを指定します。今回は最低限の設定としてネットワーク関連パラメータのみを指定しています。

    CONFIG_COMPUTE_HOSTS=(*1)
    CONFIG_NOVA_COMPUTE_PRIVIF=bond0
    CONFIG_NOVA_NETWORK_PUBIF=bond1
    CONFIG_NOVA_NETWORK_PRIVIF=bond0
    CONFIG_PROVISION_DEMO_FLOATRANGE=(*2)
    

    (*1)コンピュートノードのプライベートIPアドレス
    (*2)Portable Public IPで取得したレンジ

    3. インストールの実行

    インストールパラメータを設定したら、Packstackによるインストールを実行します。実行すると最初に各ノードのrootパスワードを聞かれるので入力します。

    (5)インストール実行
    # packstack --answer-file=answers
    Welcome to Installer setup utility
    Installing:
    Clean Up
    [ DONE ]
    root@xx.xx.xx.xx's password:
    root@xx.xx.xx.xy's password:
    (中略)
    * To use Nagios, browse to http://10.64.141.201/nagios username: nagiosadmin, password: 159e445f287048c3
    

    最後にネットワークデバイスの設定を変更し再起動します。

    (6)ブリッジデバイスの設定
    # cd /etc/sysconfig/network-scripts/
    # vi ifcfg-br-ex
    
    (~~ファイル編集)
    DEVICE=br-ex
    DEVICETYPE=ovs
    TYPE=OVSBridge
    BOOTPROTO=static
    NAME=br-ex
    DEFROUTE=yes
    IPV4_FAILURE_FATAL=yes
    IPV6INIT=no
    DNS1=8.8.8.8
    IPADDR= {ifcfg-bond1から転記}
    NETMASK={ifcfg-bond1から転記}
    GATEWAY={ifcfg-bond1から転記}
    
    (7)ネットワークデバイスの設定
    # vi ifcfg-bond1
    
    (~~ファイル編集)
    DEVICE=bond1
    BOOTPROTO=none
    ONBOOT=yes
    USERCTL=no
    BONDING_OPTS="mode=4 miimon=100 downdelay=0
    updelay=0 lacp_rate=fast xmit_hash_policy=1"
    #------ここから削除------
    # IPADDR= xxx.xxx.xxx.xxx
    # NETMASK= xxx.xxx.xxx.xxx
    # GATEWAY= xxx.xxx.xxx.xxx
    #------ここまで削除------
    #------ここから追加------
    TYPE=OVSPort
    NAME=bond1
    DEVICETYPE=ovs
    OVS_BRIDGE=br-ex
    #------ここまで追加------
    
    (8)再起動
    # reboot
    

    これで2台構成のOpenStack環境が構築されデモ用のユーザとネットワークが設定されました。

ビットアイル総合研究所
OpenStackをはじめとするシステム基盤関連技術の調査、検証、教育が主な業務。OpenStackコントリビューター修行中。派遣プログラマ、業務パッケージソフトベンダー、大手Sier勤務を経て現職。
株式会社ビットアイル
10年ほどネットワーク・セキュリティを中心とした公開系システム基盤の提供(セキュリティ・ネットワーク・サーバ)やMSSビジネスに従事。最近4年くらいはクラウドへシフトし、SoftLayerも含めたクラウドビジネスや啓蒙活動にも参画。

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