競争に勝ち抜くためのクラウド
近年、お客さまが抱える課題とシステム要件
過去、多くのIT部門はエンドユーザーや利用形態の視点を中心に運用を含むシステム設計を行ってきましたが、近年ではビジネスや経営での視点が求められいます(図1-1参照)。
特にビジネスや経営への貢献が大変重要であり、これをいかにシステムに反映させればよいのか、何が実現できればよいのかという点について議論が交わされてきました。
それでは、機能要件以外の何を要件に盛り込み、どのようにしてこれを実現すべきなのかについて確認するため、実際のお客さまケースで求められた要件を以下に記述します。
・コスト削減
・迅速性
・拡張性
・柔軟性
これら4つの要件を同時に満たすことにより、よりダイナミックなインフラを実現することができ、これによりビジネスや経営に貢献できるIT基盤を構築することが可能になります。
IBM マネージド・クラウド・コンピューティング・サービス
それでは、これらの要件をどのように実現するのでしょうか。
実現の方法にはいくつかの選択肢がありますが、ここでは最も高い効果が期待できるエンタープライズ・パブリック・クラウドを例にとって説明します。
IBMは、クラウド・コンピューティング・ロードマップにのっとり、2009年7月30日にIBM マネージド・クラウド・コンピューティング・サービス for IA(以降IBM MCCS)を発表しました(図1-2参照)。
このサービスは、サーバー処理能力のベンチマークデータであるSPECint_rate2006やメモリー、およびディスク容量の使用量に応じて課金される従量課金型クラウドサービスで(図1-3参照)、また、ITILに準拠した標準運用サービスを合わせて利用することができる高品質のオールインワンITサービスです。
従量課金以外の大きな特徴は、バーストなど必要に応じてCPU資源をリアルタイムに動的に追加・削除することができる点と、99.999%の稼働率を実現しているという点です。
また、仮想サーバーや資源の追加・削除も受付完了後の翌営業日には反映されるという点も大きな価値として評価されています。
従来、特に分散系サーバーは非常に高い使用率のサーバーとそうでないサーバーに両極化されていました。
これを解決すべくサーバー統合が急激に関心を集めているわけですが、実際にはブレードサーバーに集約しただけの物理統合のレベルにとどまっており、拡張性や柔軟性、そしてコストを究極まで削減するには至りませんでした。
IBM MCCSでは、運用を含めた高い拡張性と柔軟性を提供するだけでなく、規模の論理を最大限に効かすことができるため、コスト削減に関してより多くの恩恵を受けることが可能になります。
また、インフラが従量課金制になることにより、レベルの低い開発者(会社)が開発したアプリケーションプログラムと、レベルの高い開発者(会社)が開発したアプリケーションプログラムとで掛かるインフラコストが変わってくるため、インフラからアプリケーション、そして運用までのITすべてにおけるコストチューニングが可能になります。
これにより、ハードウエアの価格性能比に頼った開発から脱却することができ、IT全体のコスト削減が実現します。