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【楽々デブドックを書こう!】正直使う?ガイドライン

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第2回:知っていてこそのガイドライン

著者:シンクイット編集部

公開日:2008/02/18(月)

ガイドラインは知られていてこそ効果を発揮する

第1回:開発者ガイドラインとはなんだ?」の次回予告において、「第2回ではプログラマの立場から、発注者ビューガイドラインについての生の意見を紹介する」としめくくった。当然今回は、各者からの発言によって記事を構成する予定となっていた。

しかし、第1回公開後によせられた質問の多くが「発注者ビュー検討会/ガイドラインの存在を知らなかった」というものだったため、今回は急遽予定を変更して発注者ビューガイドラインについて、より詳細な情報をお伝えすることとした。

発注者ビュー検討会のWebサイト「実践的アプローチに基づく要求仕様の発注者ビュー検討会」では、この検討会についての内容がまとめらており、日々情報が更新されている。

そもそも発注者ビューガイドラインは、発注者ビュー検討会によって検討・作成されているものだ。この検討会には、NTTデータをはじめ、富士通、日本電気、日立製作所、構造計画研究所、東芝ソリューション、日本ユニシス、沖電気工業、さらにTISといった、日本のシステム環境を支える企業が参加している。

検討会の目的として、上記のWebサイトでは「発注者ビュー検討会は、情報システムにおける『仕様』について、『発注者にわかりやすい記述方法および合意方法』を共同検討することを目的として2006年4月12日に発足しました」と掲載されており、参加している各企業は、それぞれ「発注者」に対しての情報提供の難しさを抱えていることが伺える内容となっている。

図1:発注者ビューガイドラインの内容(抜粋)
図1:発注者ビューガイドラインの内容(抜粋)
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

画面の開発ドキュメントは後回し?

発注者ビューガイドラインは「画面編」と「システム振舞い編(仮称)」「データモデル編(仮称)」の3つで構成されている点については、前回も紹介した。弊誌に原稿を執筆している方々に聞き取りを行ったところ、「画面編が先に公開されたのは、問題点がそこに集約していることのあらわれでしょう」というコメントをいただいた。

つまり、従来の開発ドキュメントを見た場合に、システムがどのように構成されているかやデータがどう扱われるか、という部分についてはこれまでにも開発者側でしっかりと意識されており、ドキュメントとして整備される環境が整っている(または整いつつある)という。しかし「画面」に関しては、「実際に完成品を見てから」というケースが多いということだ。

これは非常に大きな問題点であると考えられる。システムや扱うデータの構成は事前に数値や文章としてお互いのコンセンサスがとりやすいものだが、一方で画面というビジュアルの部分は「本物」あるいは「本物を想定したモックアップ」があってこそ、発注者側で正しく理解できるということだ。

さらなるコメントして「現在のシステム開発では、UIと裏で動作するシステムが、ある程度切り離して進められています。その意味ではUIのみの作り直しはさほど難しいものではないといえるでしょう。しかし『手戻り』であることには間違いなく、その部分を事前に承認できる方法論はぜひとも必要だと考えています」という意見もあった。

これが、現場の正直な意識なのだ。 次のページ



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第2回:知っていてこそのガイドライン
ガイドラインは知られていてこそ効果を発揮する
  どのように「ビュー」を見える化するのか
  開発ドキュメントは誰のものなのか?