あのバグ、ほんとに直ってますか?
これは20代の元プログラマ Q氏が語ってくれたバグ話だ。
「私がプログラマをやっていたころ、結構納期のきつい仕事が多くて連日事務所に泊まりこみで作業することが多かったんです。その日の朝、先輩プログラマが体調不良を訴えていて、仕方なく戦線離脱することになりました。
仕事はもちろん夜まで続き、先輩の分の作業も私にのしかかっていました。ちょうど先輩が手がけていた部分にバグが見つかり、なんとか修正しようとしたものの分からない箇所があったんですよ。
参考書を片手になんとか修正しようとしていたとき、後ろから先輩の声で『そこはこう直せばいいから』という指示が聞こえたんです。光明が見えたことから、私は振り返りもせずに『ありがとうございました!』と言って、そのまま作業を進めました。
でもおかしいんですよね。そのとき先輩は病院のベッドの上で点滴を受けていて、事務所に顔を出せる状況じゃなかったんですから」
恐ろしきは、バグをつぶしたいと思うプログラマの執念だろうか。
さぁ、いよいよ本当に怖いバグ話、最後の1話だ。30代のプログラマ R氏は、いまでもこの恐怖に震えているのだという。
「あの時は、とにかく朝までに納品しなくちゃいけない仕事で、朦朧とした意識のままでバグ修正を続けていました。管理シートによると、あと10箇所の修正を行えば、とりあえず既存のバグは退治できるという状況で意識が途切れてしまいました。
どのくらい意識を失っていたのでしょうか。私は『バグ修正完了! 納品しますー!!』という声で目を覚ましたのです。『あと10個あった修正は?』と私は言い出せずにいました。
しかしどうやらバグ修正後のテストも正しく終了したらしく、一応バグは取り除けているようです。でも、私にはその作業をした記憶がないのです。そして、そのシステムは納品され、今でもある企業の基幹システムとして動作しているんです。
あのバグは本当に取れているんでしょうか。それともまだバグは残っているんでしょうか…」
4週間に渡ってお届けしてきた本当に怖いバグ話はいかがだっただろうか。これらの話があなたのこれからのバグ管理生活にお役に立てば幸いである。
なお、この話が事実か想像の産物なのかは、読者の判断にお任せする。 タイトルへ戻る