Red Hat Enterprise Linuxの概要

2006年3月14日(火)
古賀 政純

RHEL4の対応のCPU、メモリ容量について

RHEL4が稼動するハードウェアにはIntel系/AMD系の32bitCPUを搭載したいわゆるx86サーバから、ミッションクリティカル用途向けのItanium2 CPUを搭載したIA-64サーバまで幅広いアーキテクチャをサポートしています。

RHEL4ではサポートするCPU(表3)の種類によってそのサポートCPU数やメモリ容量が異なります。またCPUアーキテクチャごとにカーネルが用意されており、そのハードウェアに最適化されたカーネルを利用することが可能です。


  • x86系
  • AMD64/EM64T
  • Itanium2
表3:RHEL4の対応の主なCPUアーキテクチャ

以降では、表3であげたサポートCPUとその最大論理CPU数、最大メモリ容量、カーネルがサポートするメモリ容量を説明します。

AMD64/EM64Tアーキテクチャでx86版RHEL4も稼動させることが可能です。最近のサーバはAMD64またはEM64Tアーキテクチャ のCPUを搭載しており、OSにはAMD64/EM64Tアーキテクチャ版のRHEL4を利用するのが一般的ですが、x86版を利用することもあります。 Itanium2を搭載したサーバはミッションクリティカルなシステムで利用されるのが一般的です。したがってIA-64版のRHEL4 ASが採用されることが多くなります。

エンタープライズ向けのサーバの多くは2CPU以上のSMPシステムで稼動させることが一般的です。RHELではSMPシステムをサポートしていま すが、CPUアーキテクチャごとにサポートしている最大CPU数が異なります。サポートされるメモリ容量もCPUアーキテクチャによって異なります。

以下にRHEL4でサポートされるCPU数、メモリ容量を示します。

  最大論理CPU数 最大メモリ容量
x86系 32個 64GB
AMD64/EM64T 8個 64GB
Itanium2 64個 128GB
表4:RHEL4のサポートする最大論理CPU数と最大メモリ容量

※注:
  1. RHEL4 ASのみが物理3CPU以上のサポートとなります。
  2. x86において、SMPとhugememカーネルで最大論理CPU数は16となります。
  3. x86においては、RHEL4 ASとRHEL4 WSでメモリ8GB以上をサポートします。
  4. RHEL4 ESは最大16GBメモリまでサポートします。
RHEL4 ASとESの違いについてはレッドハット社の以下サイトを参照してください。
http://www.redhat.co.jp/software/rhel/server/

RHEL4の対応のカーネルについて

RHEL3はカーネル2.4であったのに対して、RHEL4ではカーネル2.6が標準搭載されており、様々な機能拡張がはかられている上、カーネル 2.6によるスケーラビリティの大幅な改善により、エンタープライズシステムへの採用がさらに容易になってきています。RHEL4のカーネルごとにサポー トされるメモリ容量を以下に示します。

  サポートされるメモリ容量
1CPU用の標準カーネル(i686、Athlon) 4GB
SMPカーネル(i686、Athlon) 16GB
hugememカーネル 64GB
表5:RHEL4のカーネルとサポートメモリ容量

先に述べたRHELのカーネルはディストリビューションにコンパイル済みのバイナリ形式で含まれています。RHELでは、利用者がコンパイルした カーネルをインストールして利用することは、動作上できたとしてもレッドハット社のサポートが受けられなくなりますので、OS標準添付のバイナリ形式の カーネルを利用することを強く推奨します。

RHEL4の対応のファイルシステムについて

RHEL4のext3ファイルシステムの最大サイズは8TBとなっています。RHELでは一般的にext3が利用されます。RHEL3のext3で は1TBまでをサポートしていますが、RHEL4では8TBまで拡張され、さらに大規模なストレージシステムに対応できるようになっています。

以上から、RHELがサポートするCPUアーキテクチャ、メモリ容量、カーネル、ディスク容量などを参考にシステム要件に合ったサーバの種類と組み 合わせを考慮します。レッドハット社のWebサイトに掲載されている「Red Hat Enterprise Linuxの対応するシステム構成と範囲」にOSの仕様が掲載されていますので、これらの情報を元にRHELのシステム構成を検討します。

Red Hat Enterprise Linuxの対応するシステム構成と範囲
http://www.redhat.co.jp/software/rhel/configuration/

今回のキーポイント

今回のキーポイントは次のようになります。

  • クライアントPC向けLinuxとサーバ向けLinuxでのシステム構築手法は大きく異なる
  • Fedora Coreは先進の機能を取り入れるRHELの実験工房であり、企業システムには不向き
  • エンタープライズ用途のLinuxでは、OSの安定性、サポート内容が重要である
  • RHEL4 AS/ES/WS製品体系、リリース期間を知る
  • RHELが対応するCPUアーキテクチャとメモリ最大容量、カーネルの種類を検討する
  • 製品のサポート契約内容を理解する
表7:今回のキーポイント
日本ヒューレット・パッカード株式会社 プリセールス統括本部 ソリューションセンター OSS・Linux担当 シニアITスペシャリスト

兵庫県伊丹市出身。1996年頃からオープンソースに携わる。2000年よりUNIXサーバーのSE及びスーパーコンピューターの並列計算プログラミング講師を担当。科学技術計算サーバーのSI経験も持つ。2005年、大手製造業向けLinuxサーバー提案で日本HP社長賞受賞。2006年、米国HPからLinux技術の伝道師に与えられる「OpenSource and Linux Ambassador Hall of Fame」を2年連続受賞。日本HPプリセールスMVPを4度受賞。現在は、Linux、FreeBSD、Hadoop等のOSSを駆使したスケールアウト型サーバー基盤のプリセールスSE、技術検証、技術文書執筆を担当。日本HPのオープンソース・Linuxテクノロジーエバンジェリストとして講演活動も行っている。Red Hat Certified Engineer、Red Hat Certified Virtualization Administrator、Novell Certified Linux Professional、EXIN Cloud Computing Foundation Certificate、HP Accredited Systems Engineer Cloud Architect、Red Hat Certified System Administrator in Red Hat OpenStack、Cloudera Certified Administrator for Apache Hadoop認定技術者。HP公式ブログ執筆者。趣味はレーシングカートとビリヤード

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