翻訳された英文の表示と読み上げ
WebBrowserに「進む」「戻る」「再読み込み」を実装する
WebBrowserコントロールには、「進む」、「戻る」、「再読み込み」に該当するものがなく、自前で実装するしかありません。MSNのサイトが表示されています。リンクをクリックして他のページに遷移し、「戻る」、「進む」ボタンをクリックしてみてください。「戻る」、「進む」が実行されます。「再読み込み」ボタンではページがリロードされます(図10)。
図10:起動後MSNのサイトが表示されている、リンクをクリックし他のページに遷移後、[戻る]、[進む]ボタンをクリックして該当ページが表示されている(クリックで拡大) |
サンプル一式は、会員限定特典としてダウンロードできます。記事末尾をご確認ください。
※サンプル実行でエラーが発生した場合は、「ソリューションのビルド」を実行後、再度、デバッグ開始を行ってください
プロジェクトの作成
VS 2010のメニューから[ファイル(F)/新規作成(N)/プロジェクト(P)]を選択します。次に、「Windows Phone Application」を選択して、「名前(N)」に任意のプロジェクト名を指定します。ここでは「WP7_WebBrowserPrevBack」という名前を付けています。Windows Phoneのバージョンは7.0を選択します。
コントロールの追加
ツールボックスからButtonコントロールを3個、WebBrowserコントロールを1個配置します。ButtonのContentプロパティには、「Prev」(NameはPrevButton)、「Back」(NameはBackButton)、「Reload」(NameはReloadButton)と指定します。
PhoneApplicationPageのプロパティ[その他]パネルにある、SupportedOrientationsにPortraitOrLandscapeを指定します。エミュレーターを横に倒したり縦に戻したりすることが可能になります。
WebBrowserコントロールのプロパティ[共通]パネルにある、IsScriptEnabledプロパティにチェックを付け、Javascriptを有効にしておきます。ここのチェックを忘れると、Javascriptを使用したページが正常に表示されません。また、今回はコードの中でJavascriptを使用していますので、IsScriptEnabledプロパティの値がFalseだとエラーになってしまいますので、注意してください。
全て設定すると図11のようになります。
図11:各種コントロールを配置した(クリックで拡大) |
次に、ソリューションエクスプローラー内のMainPage.xamlを展開し、表示されるMainPage.xaml.vbをダブルクリックしてリスト2のロジックコードを記述します。
ロジックコードを記述する
リスト2 (MainPage.xaml.vb)
Option Strict On Partial Public Class MainPage Inherits PhoneApplicationPage ' Constructor Public Sub New() InitializeComponent() End Sub
ページが読み込まれた時の処理
WebBrowser1.NavigateメソッドでMSNのサイトに遷移します。 Private Sub MainPage_Loaded(sender As Object, e As System.Windows.RoutedEventArgs) Handles MyBase.Loaded WebBrowser1.Navigate(New Uri("http://jp.msn.com/", UriKind.Absolute)) End Sub
[前へ]ボタンがクリックされた時の処理
InvokeScriptメソッドでhistory.forward()スクリプトを実行します。evalは、JavaScript式を含んだ文字列を評価するJavaScriptの組み込みメソッドです。 Private Sub PrevButton_Click(sender As System.Object, e As System.Windows.RoutedEventArgs) Handles PrevButton.Click WebBrowser1.InvokeScript("eval", "history.forward()") End Sub
[戻る]ボタンがクリックされた時の処理
InvokeScriptメソッドでhistory.back()スクリプトを実行します。evalは、JavaScript式を含んだ文字列を評価するJavaScriptの組み込みメソッドです。 Private Sub BackButton_Click(sender As Object, e As System.Windows.RoutedEventArgs) Handles BackButton.Click WebBrowser1.InvokeScript("eval", "history.back()") End Sub
[Reload]ボタンがクリックされた時の処理
InvokeScriptメソッドでlocation.reload()スクリプトを実行します。evalは、JavaScript式を含んだ文字列を評価するJavaScriptの組み込みメソッドです。 Private Sub ReloadButton_Click(sender As Object, e As System.Windows.RoutedEventArgs) Handles ReloadButton.Click WebBrowser1.InvokeScript("eval", "location.reload()") End Sub
エミュレーターの表示方向が変化する時に発生するイベント
エミュレーターが横向きになった時はWebBrowserのWidthの値を広くとります。 Private Sub MainPage_OrientationChanged(sender As Object, e As Microsoft.Phone.Controls.OrientationChangedEventArgs) Handles MyBase.OrientationChanged WebBrowser1.Width = Me.ActualWidth End Sub End Class
今回でWindows Phoneの基本編のプログラム解説は終了です。いかがでしたか?この最終回の連載が掲載される頃には、Windows Phoneの実機が、発売されている「かも」しれません。ぜひWindows Phoneのプログラミングをマスターして楽しんでもらいたいと思います。
また先日、Silverlight for Windows Phone ToolkitのWindows Phone SDK 7.1対応版がリリースされました。URLは下記です。
→参照:Silverlight Toolkit(「August2011」版です)
今回のツールキットは、Windows Phone 7.5の環境での動作をベースにチューニングが行われています。特に日本では、Windows Phone 7.5の環境がスタートするため、是非、今回のツールキットへのアップデートをお勧めします。
まだまだ、紹介したい機能がありますが、それはまた別な機会に、ということで。
ありがとうございました。
「翻訳された英文の表示と読み上げ」サンプルプログラム_1
「翻訳された英文の表示と読み上げ」サンプルプログラム_2