今こそ聞きたいVisual Studio 2008の基礎の基礎
第2回:4つのアプリケーションを開発してみる
著者:マイクロソフト 馬田 隆明
公開日:2008/02/12(火)
「Windows Presentation Foundation(WPF)」とは?
前ページではWindowsフォームアプリケーションを作成しましたが、最新の開発環境であるVS2008は「Windows Presentation Foundation(以下、WPF)」アプリケーションの作成にも正式に対応しました。WPFを使えば、開発者はWindowsフォームアプリケーションの作成と同様の開発スタイルで、より高度なユーザインターフェイスを実装することができます。
「ファイル」メニューから「新しいプロジェクト」を選び、「WPFアプリケーション」を選択します。するとWindowsフォームとは異なるデザイナ画面が表示されます。例として「Button」コントロールをドラッグ&ドロップし、プロパティウィンドウをみてください。
このプロパティのブラシカテゴリでは、ボタンの枠線や文字色に対してさまざまな色が選択可能です。またGridコントロールを使うことで、コントロールの配置をより細やかに指定できます。つまりWPFでは、デザインの自由度が向上しているといえます。
これらはほんの一例にしかすぎませんが、WPFを利用することによって、開発者は柔軟でスケーラブルなレイアウトをデザインすることが可能になると同時に、GPUを利用した3Dグラフィック描画までも利用できるのです。またアプリケーション利用者側からは、WPFアプリケーションによってリッチなユーザエクスペリエンスを受けられるということになります。
昨今、ユーザエクスペリエンスはアプリケーションの品質の重要な要素の1つとして考えられており、WPFテクノロジはそうした状況に対する1つの答えとなるでしょう。なおWPFについては次回以降で詳しく解説します。
リスト2:ASP.NET Webサイトの作成
Protected void page_Load(object sender, EventArgs e)
{
Label1.Text = DateTime.Now.ToLongTimeString();// ここだけを入力する
}
図2:WPFアプリケーションの作成
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)
Webアプリケーションの作成
VS2008では、WebアプリケーションもWindowsアプリケーションと同じスタイルで開発できます。
Visual StudioおよびVisual Web Developerは、高機能なHTMLデザイナとしてだけでなく、ASP.NET対応のWeb アプリケーションを手軽に作成できる開発ツールです。さらにVS2008では、デザインとソースコードを同時に表示可能な「分割ビュー」の採用やCSSの管理機能の向上など、より多くの開発者にとって便利になるよう、大幅な革新が行われています。
簡単なWebアプリケーションを作成してみましょう。まず「ファイル」メニューから新しいASP.NET Webサイトの作成を行います。デザインビューに移り、ツールボックスから「Label」コントロールをドラッグ&ドロップします。ドロップしたLabelをダブルクリックしてコードビューを開き、リスト2の内容をPage_Loadメソッドの中に入力してF5キーで実行します。
リスト2はサーバから現在時刻を取得して表示するコードです。たったこれだけの作業でWebアプリケーションが完成します。もちろん、Webアプリケーションはこれほど単純なものばかりではありません。もう少し本格的なアプリケーションや、昨今主流になりつつある「Ajax(Asynchronous JavaScript And Xml)」アプリケーションの開発については次回紹介します。
またVS2008のアドインによって、さまざまなクライアントサイドコントロールの追加を行えます。これもまたAjaxアプリケーションの作成が非常に容易になったことを意味します。さらにJavaScriptのデバッグ機能の追加とIntelliSenseの強化を行ったことで、複雑さを増すJavaScriptを使った開発が容易になりました。
さらに従来からVisual Studioを使っている人であれば、通常のアプリケーション開発におけるデバッグ機能と操作の一貫性が保たれており、これまで培ってきた知識や経験を十分に活用しながら、Ajaxアプリケーションの開発を行うことができるでしょう。 次のページ