PTW攻撃は初期ベクトルIVに依存しない攻撃法で、かつARPインジェクション攻撃を併用すれば、4万パケットで104ビットWEP鍵を導出できる画 期的な方法である。しかし、実際の無線LAN環境では、防御側がARPインジェクション攻撃からPTW攻撃を検知し、即座に防御を行うことや、事後に速や かにWEP鍵を再設定することが可能である。防御側にとってはIPS(ネットワーク侵入検知防御システム)等を導入することで対策を採ることができるので ある。
今回は無線LANの暗号化方式として、IEEE 802.11bで規定されているWEPについて、特にその解読法について説明する。IEEE 802.11は1997年に規定された、最初の無線LAN関係の規格である。当初は2Mbpsの規格であったが、その後すぐに11Mbpsに対応し、 54Mbpsに高速化され、現在策定中のIEEE 802.11nでは300Mbpsへの拡張が予定されている。
今回は特に鍵の安全性と解読について解説し、ストリーム暗号の仕組みを紹介する。暗号の安全性にとって鍵と呼ばれるパラメータが重要であり、暗号の安全性は鍵の推定問題に帰着することは前回述べた通りである。鍵を推定すること が鍵の全数探索と等価となることを理想として、暗号は設計されている。
2008年10月、著者らは無線LANの標準暗号化方式であるWEP(Wired Equivalent Privacy)を解読した。以前より、WEPの脆弱(ぜいじゃく)性は報告されており、大量のパケットを盗聴したり、あるいは特殊なパケット(例えば ARPパケット)を数多く収集できるという条件の下で解読が可能であった。
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