項 目 |
概 要 |
壊滅的な自然災害への準備不足 |
長年、ニューオリンズ市における堤防決壊を伴うハリケーン災害の危険性が指摘されていたにもかかわらず、この問題への対策が実施されていなかった。 |
FEMA上層部の危機管理の専門性と実務経験の欠如 |
当時のFEMA長官を含め、FEMA上層部の多くは、危機管理の専門性および実務経験がなかった。 |
連邦政府の指導力の欠如 |
ハリケーン・カトリーナ上陸の数日前に全米ハリケーンセンター(NHC)から、ホワイトハウスに堤防決壊の可能性が高いことが警報として知らされていたにもかかわらず、連邦政府として予防的措置を命じなかった。 |
連邦の危機管理計画の発動の遅れ |
連邦の危機管理計画が発動されたのは、ハリケーン・カトリーナがルイジアナ州に上陸した翌日であった。 |
連邦政府の被災状況把握の遅れ |
24時間体制で米国内の緊急事態の監視・情報収集・情報共有を担う、DHSの国土安全保障オペレーションセンター(HSOC)が、ニューオリンズ市内の堤防決壊について各方面から連絡があったにもかかわらず、堤防決壊があったことを確認せず、ホワイトハウスやDHS長官などに連絡をしなかった(これについては、ホワイトハウスおよびDHSが、連邦議会に対して情報提供を拒否しており、真相は不明)。 |
電力・通信インフラの壊滅による指揮・統制機能の麻痺 |
多くの地方政府の緊急時オペレーションセンターが被災したため、州政府は、応急対応の指揮を取ることができず、地方・州政府が協調的に救援活動を行うことができなかった。 |
州・地方政府における緊急時通信計画の不適切さ |
被災した州・地方政府の多くが、通信のバックアップ機能(衛星電話、通信の多重化等)を備えていなかった。 |
省庁間での応急対応活動の協調性の欠如 |
省庁の役所主義により、FEMAやDHS、DOD(国防総省)などの連邦機関間で捜索・救援活動を協調的に行うことができなかった。また通信インフラの壊滅、州・地方政府におけるバックアップ通信機能の未整備、情報通信システムの相互運用性の問題が、応急対応の指揮・命令系統を混乱させ、協調的な救援活動を阻害した。 |
避難所設置の不適切さ |
多くの地方政府が避難所を場当たり的に設定したため、混乱が生じた(住民の避難と避難所の設定の手順が非効率的であった)。 |
FEMAのロジスティックス能力の不足 |
FEMAとしても経験したことのなかった規模の災害のため、完全にロジスティックス機能が破綻した。また、避難所のニーズをまったく把握できず、多くの避難所の生活環境が劣悪な状況に陥った。 |
仮設住宅設置の不適切さ |
地方・州政府が、仮設住宅の設置を計画的に行わなかった。また、災害の規模が大きすぎたため、FEMAは仮設住宅の調達の限界を把握できなかった。 |