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DOAとは何か!〜開発現場から見るDOA〜

第1回:DOAを採用した現場の実態とは

著者:システムズ・デザイン  DOA推進ワークショップ   2007/2/15
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プロジェクト体制

   プロジェクトの体制は、大きく2つに分かれています。効率的な人材のアサイメントを試行した結果、この形が定まりました。設計・開発担当として、表4の役割が設定されています。
役割 主な作業
主任アナリスト 実質的な現場リーダー
評価用資料の作成、評価イベントの開催
システム開発の費用管理
論理設計の主体
アナリスト補佐 主任アナリストの補佐
プロ管補佐 プロジェクト管理作業
進捗/懸案事項/変更・障害管理を担当
開発リーダー 開発チームのリーダー
開発実作業+開発チームの作業割り振り
開発者 物理設計以降の開発担当
Web画面デザイナー 画面設計担当
画面/帳票プロトタイプの作成

表4:設計・開発スタッフの役割

   このうち、主任アナリストはユーザ企業の情報システム担当者がアサインされます。その他の役割は、基本的に受注側の情報システムベンダーが担当します。

   技術支援の側面を担う役割として、表5の職種が存在します。

役割 主な作業
アーキテクト アーキテクチャ設計担当
インフラ構築などの技術要件を確定
データ管理者(DA) データ管理担当
ER図の作成
リポジトリによる情報資源管理業務
データベース管理者(DBA) データベース設計担当
データベースの物理設計、実装
パフォーマンス測定とDBチューニング作業

表5:技術支援スタッフの役割

   これらは、ユーザ企業の技術支援部門と相談の上で専門職を割り当てています。このスタッフはアサインされたプロジェクトのほか、複数のプロジェクトを横断的に担当しており、全社的なシステムの整合性に気を配るとともにアプリケーションの信頼性を担保する活動を行っています。

   このほかに、業務分野ごとにステアリングコミッティのメンバーとなる管理職が1〜2名おり、前述の通り、開発側と密接にコミュニケーションしています。


成果物

   誌面の都合もあるため一部抜粋となりますが、フェーズごとに作成する成果物が表6のように定められています。ただし、一律にすべての成果物を作成するわけではなく、プロジェクトの性質や規模に応じ、取捨選択します。
工程 ドキュメント成果物 備考
要件定義 要件/機能対応一覧  
システム概念図 当該システムと周囲の関連システムの連関を図示
論理DFD 基本フロー、基本的概念
業務フロー 基本フロー、基本的概念
画面/帳票一覧  
システム構概要 当該システムのハードウェア、ファームウェア構成
システム資源概算見積り  
外部設計 論理DFD 詳細フロー、仕様レベル
業務フロー イベントフローレベル。基本、例外、拡張、エラー処理を記載
プロトタイプ画面/帳票イメージ  
画面/帳票説明書  
画面遷移図  
ER図  
データ項目定義書 全項目のアクセス名、項目名称、属性、桁型、意味などを記載
物理DFD  
処理機能記述書  
CRUDマトリックス  
ユーザ/グループ一覧 ユースケースのアクタ一覧に同じ
権限マトリックス 画面ごとのユーザ/グループの割り当てを検討した対応表
非機能要件書 適用技術、稼動環境、LAN・WANセキュリティ要件など
移行・運用設計 移行対象、移行方法、運用方法、運用上の制約など

表6:成果物の一覧

   成果物の中で特筆すべき点は「業務フロー」と「ER図」です。


業務フロー

   要件定義工程では、ユーザが作成した概略ビジネスフローを、画面・帳票が想定できるレベルに詳細化します。

   外部設計工程では、当該工程で確定したシステム機能を反映し、業務フローの確定版を作成します。ノーテーション(表記法)は特に定まっておらず、また確定版のレベルも厳密には定まっていません。筆者はシステム開発の対象となる画面・帳票はすべて反映した形が望ましいと考えています。


ER図

   ER図は、基本的に技術支援スタッフのDA(データ設計者)が作成します。DOAでは、意味論によりER図を作成します。

   いわゆる正規形よりも、やや粒度の細かいエンティティが識別され、モデルに表現されます。また、図面上のエンティティは、業務にそって配置するため、全体の流れを把握しやすいといった特徴があります。図面は、専用ツール上で作成され、リポジトリでメタデータ情報を管理しています。


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システムズ・デザイン株式会社 DOA推進ワークショップ
著者プロフィール
システムズ・デザイン株式会社  DOA推進ワークショップ
ビジネス解析方法論であるDOAと、開発プロセス方法論であるRAD、ウォーターフォール、UPなどを現場の最前線で適用している技術者を中心に開設した、sdc独自のワークショップ。PDCAサイクルを回して、さらなる進化と「確かなモデリング∧確かな開発プロセス→いい仕事」の可能性を追求する。


INDEX
第1回:DOAを採用した現場の実態とは
  DOAとPOAという2つの流れ
プロジェクト体制
  DOAを現場で展開する上での留意点