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シマンテックイエローブック
ストレージ管理の標準化

第1回:ストレージ管理の必要性

著者:シマンテック   2007/4/24
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ストレージとデータの管理にかかる人件費

   データセンターのストレージを購入して設置した段階では、コストサイクルはまだ始まったばかりです。ストレージはそこに置いておけばよいというものではありません。ストレージもデータも手間をかけて管理する必要があります。前述のとおり、システムの拡張に伴って、追加のストレージやネットワークリソースを設定して、特定のホストに割り振る作業が必要であり、その頻度は高まっています。

   さらに、ストレージデバイスにもディスクアレイにも寿命があるので、定期的にハードウェアを入れ替える必要があり、そのたびにデータを新しいハードウェアに移行する作業も必要になります。

   ストレージデバイスに格納されているデータも管理しなければなりません。データを完全に失わないようにするための定期的なバックアップが必要です。さらに、破損データを短時間で復元することが必要であれば、重要なデータのディスクベースのスナップショットを周期的に作成しなければなりません。各データの業務上の価値は時間と共に変化していくので、データをオンラインで保管しておくための経費をその業務上の価値に見合ったものにするには、データの格納場所をそのつど変えていくことも必要になります。

   データセンターの規模が拡大し、内部構造が複雑化していくと、ストレージとデータの管理に必要なスキルレベルも上がっていきます。実際に、データセンターのストレージのアーキテクチャを構築する職種と管理する職種は、それぞれ別のIT専門分野として台頭してきました。この業界について分析しているWeb サイト「SearchStorage.com」では、収入に関する2005 年の年次調査について次のように述べています。

   「IT管理の職種は、今でも技術系のさまざまな職種の中で最も報酬が高い職種と言えるが、米国の企業でデータ管理の重要性が高まるにつれて、その牙城を脅かそうとしているのがストレージ関連の職種です。多くの企業ではデータの量が爆発的に増え続けており、それに対応するために、社内データを編成管理するための専任の人材、特にストレージ関連の人材を雇用するようになっています。

   TechTargetでは、系列の各種Webサイトで収入に関する年次調査を実施しており、それによると、職種のトップ10に新たに登場した2つの職種はいずれもストレージ関連でした。ストレージアーキテクトは圏外から一気に第3 位に食い込んでおり、それよりも上位にあるのはCIO とインターネットアーキテクトだけです。平均収入は83,368ドル、報酬を合計すると平均で88,763ドルになります。ストレージ管理者も今回初めてランクインしました。第8位に登場し、平均収入は74,400ドル、報酬を合計すると76,300ドルになっている。

   ストレージ関連の職種の重要性が高まっているのも当然です。各企業は強固で信頼性の高いインフラストラクチャを管理する作業の重要性を実感しており、それに応じた投資を行っているからです」。

   この報告から明らかな点が2つあります。まずデータの格納と管理のための専任の人材がIT組織で活躍していること、そしてそのような職種を各企業が高く評価しており、それに応じた報酬を用意しているということです。そうであれば、データセンターの予算の中でストレージ管理のための人件費の占める割合が今後も高くなっていくのは、当然予想できることです。

   その前提から得られる論理的な結論は、ストレージ管理のための人件費を削減するためにさまざまな可能性を探るべきである、ということになります。

ストレージ管理とは

   ストレージ管理のコストを1人の管理者が管理できるテラバイト数で評価する考え方が一般的になっています。その方法にも一理あるとはいえ、実際にはバックアップと復元、スナップショット管理、ファイルの配置や移動などの重要な作業をストレージ管理の領域からアプリケーション管理やシステム管理の領域に押しやることによって、ストレージ管理の全体的な経費を低く見積もってしまう傾向があります。

   ストレージ管理にかかる人件費をより正確に評価するには、そのために必要な管理作業をだれが実施するかにかかわらず、その作業を一まとめにして簡略化のためのさまざまな可能性を探る必要があります。

   ストレージ管理に属する管理作業は通常、次のようなオブジェクトを対象にしています。

  • ストレージハードウェアデバイス(ディスクドライブとディスクアレイ)
  • ストレージネットワークコンポーネント(スイッチ、ホストバスアダプタ)
  • 仮想ストレージ(基盤はホスト、ネットワーク、ディスクアレイのいずれか)
  • ファイルシステムとファイルt

表2:ストレージ管理に属する管理作業で対象となるオブジェクト

   ストレージ管理の対象になる5つ目のオブジェクトとして、デジタル情報のリポジトリであるデータベースを挙げる人もいます。データベース管理はそれ自体、ITの専門分野の1つとして十分に確立されていますが、データベースのデータを格納するために、ファイル、仮想ストレージデバイス、ディスクドライブ、LUNが実際に使用されていることを考えれば、そのような考え方も確かに一理あります。

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著者プロフィール
株式会社シマンテック
シマンテックは、情報のセキュリティ、アベイラビリティ、整合性の確保に役立つソリューションを個人や企業のお客様に提供する世界的なリーダーです。米国カリフォルニア州クパティーノに本社を置くシマンテック コーポレーションは、現在、世界40ヶ国以上で事業を展開しています。

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