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2007年中堅・中小企業におけるサーバOSの利用実態 |
第1回:中堅・中小企業でなぜ、Linuxは利用されないのか
著者:ノークリサーチ 伊嶋 謙二 2007/6/15
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Linuxの利用状況 - Linuxは「使うつもりがない」が62.8%
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第1章は「導入しているサーバ単位でのOS」の調査結果である。第2章は「企業全体で利用しているLinux」についての調査結果から、Linuxが普及しない理由を解説する。
図4は、利用用途に関わらず、社内で1台でもLinuxを利用しているか否かを質問した結果である。「すでに使っている」が27.2%、「今後使いたい」は10.0%、「使うつもりがない」が62.8%となっている。
06年との比較で、「すでに使っている」が2.4 ポイント増で27.2%となったが、「今後使いたい」は5.5ポイント減で、かつ「使うつもりがない」が3.1ポイント増と、全体としてはLinux利用に対する状況は、ネガティブ感を増している。

図4:Linuxの利用状況 (利用用途にかかわらず社内で1台でもLinuxを利用しているか否かを質問) (画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)
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Linuxの利用用途 - 「メール、Web サーバ」が67.4%、単機能サーバとしての利用が目立つ
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続いて、Linuxサーバの利用用途を質問した結果が図6に当たる。06年同様、07 年も「メール、Web サーバ」が圧倒的で67.4%、次いで「ファイアウォールサーバ」25.7%、「データベースサーバ」17.8%、「業務サーバ」16.4%と続く。
昨年と比べても利用用途に大きな変化はない。依然として、メール、Web系などの「単機能サーバ」としての利用に集中している。その理由は、アプリケーションの有無が利用動向に大きく影響を与えることは明らかで、Linuxのアプリケーションの多くがメール、Webなどの情報系に集中しているからだ。

図5:Linuxサーバの利用用途 (Linuxサーバの利用用途を質問) (画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)
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Linuxを利用しない理由 - 「技術者不足」が55.8%、「現状で満足」と「サービス/サポートへの不安」が続く
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Linuxについては依然として中堅・中小企業の多くが利用する気配を見せないが、なぜLinuxは利用されないのか。図7は「Linuxを使うつもりがない」と回答した企業にその理由を回答してもらった結果を示している。
Linuxを利用しない理由は「社内でわかる人がいない」が55.8%と最も多く、「今使用しているOSに満足している」が38.8%、「サービス/サポートが不安」が34.0%、「実績が少なく不安」が22.2%、「アプリケーションが少ない」が21.2%、「Windowsのほうが良いと思うから」が19.3%。「安定性に問題がある」は5.9%と少ない。
06年同様、技術者不足が第一の理由として挙げられているが、逆に「Linuxを理解している」スタッフを確保できればLinuxを使うのか、という意味ではそう単純ではない。「今使用しているOSに満足している」が38.8%あり、そのOSのほとんどがWindowsである。それに「Windowsのほうが良いと思うから」の19.3%を加えると、5割を超える。「技術者不足」だけではなく、同様に「Windowsの満足度の高さ」もLinuxが普及しない要因となっている。

図6:Linuxを使うつもりがない理由 (Linux利用状況の質問で「使うつもりがない」と回答した企業にその理由を質問) (画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)
次回は、中堅・中小企業におけるWindows系OSの動向について、より詳細なデータを紹介し、2007年の総括をしていく。
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著者プロフィール
株式会社ノークリサーチ 伊嶋 謙二
1956年生まれ。1982年、株式会社矢野経済研究所入社。パソコン、PC(IA)サーバ、オフコンなどをプラットフォームとするビジネスコンピュータフィールドのマーケティングリサーチを担当。とくに中堅・中小企業市場とミッドレンジコンピュータ市場に関するリサーチおよび分析、ITユーザの実態を的確につかむエキスパートアナリスト/コンサルタントとして活躍。1998年に独立し、ノーク・リサーチ社を設立。IT市場に特化したリサーチ、コンサルティングを展開すると同時に、業界各誌への執筆活動も積極的に行っている。
ホームページ:http://www.norkresearch.co.jp/
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