
今こそ聞きたいVisual Studio 2008の基礎の基礎
第2回:4つのアプリケーションを開発してみる
著者:マイクロソフト 馬田 隆明
公開日:2008/02/12(火)
さらにさまざまな開発分野に対応
Visual Studioでは、.NET Compact Frameworkを搭載したWindows Mobile端末向けのアプリケーション開発にも対応しています。WindowsやWebアプリケーションの開発経験を活かした迅速なモバイルアプリケーション開発が可能で、今後の成長が見込まれているモバイル市場でもVisual Studioを役立てることができます。
モバイル開発は新しいプロジェクトから「デバイスアプリケーション」を選択することでスタートします。モバイルデバイスがデザイナに表示されたら、後はWindowsアプリケーションやWebアプリケーションと同様の手順で開発を進められます。
モバイル開発において特徴的なのは、デバイス自体に備えられたボタンに対して機能を割りてられる点です。実際に真ん中のボタンをダブルクリックしてコードエディタを開き、Enterボタンのイベントハンドラにリスト3を書き込んでください。
F5キーで実行し、対応するボタンを押すとダイアログボックスとHello World!という文字が表示されます。
さらにVS2008には、.NET FrameworkベースでOfficeアプリケーションを開発できる「Visual Studio Tools for Office」機能が搭載されました。これまでは単体製品またはVisual Studio Team Edition以上で提供されていた機能ですが、VS2008ではProfessional Edition以上において、標準で提供されます。
この機能を利用することで、Office 2003に加えて最新の「the 2007 Microsoft Office system(以降、2007 Office system)を活用したOfficeアプリケーションを開発できます。例えば2007 Office systemで採用されたリボンをデザイナ上で作成可能です。
またクライアントサイドだけでなく、サーバサイドのOffice製品であるMicrosoft Office SharePoint Server 2007にも対応し、VS2008を使ってワークフローのカスタマイズを行うことができます。
リスト3:モバイルデバイスでHelloWorld
If ((e.KeyCode == System.Windows.Forms.Keys.Enter))
{
MessageBox.Show(“Hello World!”);
}

図3:オフィスアプリケーションのアドイン作成
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)
複数のプラットフォームをターゲットにした開発
今回は、それぞれ異なったプラットフォーム向けに4つのアプリケーションを開発しました。これらすべてのアプリケーションが、一貫したスタイルで容易に開発できることをご覧いただけたかと思います。こうした複数のプラットフォームに対応できる点が.NET Frameworkの強みであり、これを活用できるVS2008の特徴だといえます。
そのほかのVS2008の新機能として「マルチターゲット」機能が追加されています。従来のVisual Studioは.NET Frameworkと1対1で対応してきました。しかしVS2008では開発対象プラットフォームとして、最新の.NET Framework 3.5 だけでなく、.NET Framework 2.0および3.0をチョイスすることができるのです。
つまりVS2008を利用している開発者は、.NET Framework 2.0ベースのアプリケーションも3.5ベースのアプリケーションも同じ環境で開発可能となり、ターゲットとなるプラットフォームがさらに広がります。これは「第1回:再発見Visual Studioの魅力」で解説した通り、.NET Framework 3.5が3.0と2.0をベースとした実行環境を共有していることが理由の1つなのです。
また今回は開発言語としてC#を選択しましたが、Visual StudioではVisual C#やVisual Basic、Visual C++といった複数の言語を使った開発が可能です。これも.NET Frameworkと同様、実行環境を共有しているためです。
Visual Studioと.NET Frameworkは密接に関係しています。「.NET Frameworkというフレームワークの働きと、Visual Studioという開発ツールの働きが両輪となって開発者を支援する」といったのは、これらの理由によるものなのです。ぜひ開発ツール単体だけではなくフレームワークの働きに目を向けながら、VS2008を体験してみてください。
次回からは、より具体的なアプリケーションの開発を通し、もう少し技術的なVS2008の他の機能に踏み込んでいきます。