開発一歩手前でもう一度考えてみよう!
この連載は、開発ドキュメントの面から、開発者に襲いかかる疲労や睡魔との闘いをサポートする妖精さんの汗と涙の物語である!
「感動なしには読めません〜」
…とわざとらしい涙を流す、開発ドキュメントの新米妖精A奈ちゃん。「開発ドキュメント」の大枠はつかめているものの個別の部分ではまだまだ怪しく、独り立ちできるかが心配だ。
「こらこら、感動を強要しない!」
そんなA奈ちゃんの暴走をいさめるのが、指導担当の先輩妖精B乃ちゃん。ほほえましく見守るよりも、とにかく口が先にでるタイプである。
本連載「開発☆ドキュン」では、この2人の開発ドキュメントの妖精さんたちと、「手戻りを発生させずにシステム開発をスムーズに進めるための開発ドキュメント作り」の基本を学んでいる。
「第3回:基本設計の“いろは”ドキュ」では、顧客からヒアリングした要求を開発要件として落とし込むまでの流れを解説した。「それでは開発開始〜!」と声をあげたA奈ちゃんであったが、実際に開発をはじめるまでにはもう1つ工程があるとB乃は指摘した。
「ここで大きな問題を生んでしまうのが、開発手法によってドキュメントの作り方がまったく違ってくることなのよ」
この言葉の意味とは何なのか? それについては、これからはじまる第4話をみていただこう。
図1:開発開始までの再確認
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)
第4話「細かいところはどうするの?」
今すぐにも、開発言語の妖精さんたちにバトンを渡してしまおうとするA奈の前にB乃が立ちはだかった。
「開発をはやく進めたいのはわかるけれど、どんな風に開発を進めていくつもりなの?」
「要求を基に定義した要件に沿って、開発すればいいんですよね?」
「どんな言語で?」
「えーっと、Javaで?」
「画面はどんな風にするの?」
「えーと、えーっと」
「データベースは使うの? そのテーブルの定義は? 誰がどこの箇所を手がけるの?」
「(泣)」
「それは、どこを見れば書いてあるのかしら?」
「書いてませ〜ん」
「もちろん、それがわからなければ開発が進まないのも理解できるわよね?」
「はい〜。それも開発ドキュメントとして作成するんですね」
「そうよ。それが詳細定義であったり仕様書であったりするの。こういう細かい部分を決めずに開発を進めるのは、かなり危険なことね」
「デスマーチ一直線ですね」
「そうよ。ただ困ったことに、一筋縄ではいかないのがこのステップなのよ」
「それって、いったい…」
「詳しい説明の前に、まずは基本的なところからおさらいしておきましょう」
「は〜い」 次のページ