黄金比は美しい?
「第3回:フォントの扱いが命取り?」では、デザインの中でも重要な表現方法の1つである、フォントの扱いについて紹介しました。
今回は、デザインとして最も美しいとされる比率「黄金比」について紹介します。
黄金比とは、正確には「1:(1+√5)÷2」の計算式で表されますが、一般的には「1:1.618」の比率として使われています。
ピラミッドなどの建築物やモナリザなどの絵画が黄金比でできていることは有名ですが、それらは黄金比でできているからという以前に、芸術としてすばらしいと認知されているため、現実的に判断がしづらいものです。
筆者が原稿を書いているPCの周りのものを測ってみると、身近なものでいくつか見つけることができました。名刺やたばこのパッケージ、財布の中に入っているカード、そしてiPodはきわめて黄金比に近いものでした。
それらは計算された物なのか、結果論なのかは分かりませんが、物のサイズを決めることもデザインなので、どちらにしてもバランスと機能を追求すると、そこに行き着いたのでしょう。
特にその中でも、仕事をする上で自分の顔となる名刺のサイズは横55cm×91cmで、ほぼ黄金比といえます。このサイズが標準化されていることを考えると、黄金比は美しく、機能的であるという証拠となるでしょう。
偶然の黄金比?
Think ITのスタート時は当時主流であった横幅800px採用していました。それに決めた一番の理由は単純に他社のメディアが同サイズであるところが多かったためです。
また、Think ITは広告収入モデルのWebメディアで、広告枠を設置することが不可欠です。いくつかの広告枠を設置しましたが、その中でもレクタングルは最もニーズのある広告枠でした。
レクタングルとはスクエア型の広告枠で、横縦300pxが標準的ですが、縦が250pxから最近では800pxまであるものもあり、どのメディアでも必ずと言ってよいほどよく見かける広告枠のことです。
さらに、メディアの成長とともに広告枠を追加することになり、スカイスクレーパ枠(Think ITの右側にある縦長の広告枠)を追加しました。
メディアの成長には不可欠とはいえ、枠を設置することは全体的なバランスを考えて作りこんできた制作者として戸惑いもありましたが、広告を売る営業から見れば、他のメディアでも採用している標準的な枠なので当然と言えるでしょう。
筆者はメディアをデザインするのは、はじめての経験だったので、他のWebデザイナの方がWebサイトを制作する際にどのようにサイズを決めているかに興味を持ちました。そこで見つけたのがデザインの黄金比でした。
早速、Think ITのサイズ計り、計算してみました(図1)。偶然にもほとんど黄金比に近いサイズで構成されていました。筆者が一番驚いたのは偶然の結果についてではなく、標準的な広告枠のサイズでした。
広告サイズやその名称は、インターネット広告の標準化に向けて活動している、インターネット広告推進協議会(http://www.jiaa.org/)がガイドラインを決めています。もちろん媒体に対しての強制力はありませんが、広告のトレンドを反映しているので、Think ITもそれに準じた広告をいくつか設けています。
ニーズがあるサイズの広告を配置することで、無意識に配置してもWebサイト全体が黄金比に近くなるということは、黄金比を意識しているWebサイトも多いと言えるでしょう。
次のページでは、簡単に文章に黄金比を導入する例をあげて紹介します。 次のページ